海外市場に参入したくても、後発企業にはビジネスチャンスがないと諦めていませんか? 実は、海外にモノやサービスを売ることは、後発企業のほうが容易なのではないかと思っています。なぜなら後発企業はすでに売れている商品を参考にして、しっかりとした販売戦略を立てることができるからです。
国内市場が年々縮小傾向にあるなか、より大きな市場を求め海外に目を向ける企業も増加しています。ここではこれから海外市場に参入しようとする後発企業のメリットと「遅いもの勝ち」となるための戦略について解説します。
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後発企業でも海外市場でビジネスチャンスを獲得できる理由
なぜ後発企業にもチャンスがあるのか?
これだけモノやサービスが溢れている時代でも、模倣品や類似品は次から次に出てきます。海外では一部の層で模倣品や類似品が本家と同じぐらいかそれ以上の人気となることも少なくありません。その理由は消費者ニーズの多様化にあります。だからこそ本家を参考に戦略を立てることができる後発企業にもチャンスがあるのです。
先発企業と後発企業の違い
今までだれも見たことも聞いたこともない「斬新なモノ」で自らトレンドを作ろうとするのが先発企業です。商品としてヒットすれば市場を独占できるメリットがありますが、うまく行かなければ「斬新なモノ」は日の目を見ることはありません。
これに対してすでに出来上がった市場をターゲットとし、売れる可能性があることを前提に商品を作り、新規市場に参入しようとする企業が後発企業です。
上記の説明だけで、後発企業のメリットはお分かりいただけるかと思いますが、先発企業/後発企業それぞれの視点からの優位性を示す「先発優位性」と「後発優位性」というマーケティング用語がありますので、それぞれメリット・デメリットも見てみましょう。
先発優位性とは
先発優位性とはリスクを恐れず誰よりも真っ先に新しい市場に参入することによって持つことができる優位性で、先行企業はよくファーストペンギンに例えられます。ファーストペンギンは今までにない製品やサービスを売ることで大きな利益を獲得できるチャンスがあります。ただし、かなり高いハードルをいくつも超える必要がありますし大きなリスクもともないます。
先発優位性の主なメリットと主なデメリット
主なメリット | 主なデメリット |
自社ブランド製品・サービスによる市場独占 | 失敗するリスクが高い |
プライスコントロール | 商品を認知・評価させるための莫大な経費 |
消費者ニーズをいち早く取得できる | 後発組に模倣されるリスク |
後発優位性とは
後発優位性は、先発企業が切り開いた市場に後から参入することによる優位性です。セカンドペンギンに例えられる後発企業は、先発企業が既に販売している製品やサービスを参考にした商品で勝負できるため、大きな投資を必要とせず事業展開ができます。
後発優位性の主なメリットと主なデメリット
主なメリット | 主なデメリット |
売れる可能性がある市場なので、失敗のリスクが低い | 模倣品として見られがちで、真新しさをPRしづらい |
消費者ニーズに合わせた商品改良が可能 | 設定された規格での商品開発が求められる場合がある |
開発費・宣伝広告費を抑えることが可能 | 先発組より経験値で劣る |
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先行事例にはビジネスチャンスのヒントが満載
先発企業には優れた開発力と十分な資本力・資金力が求められます。加えて大きなリスクを背負う覚悟も必要ですので、先発品は「ハイリスク・ハイリターン」の商品と言えます。これから海外市場に参入しようとする後発企業にとって、この先発企業による先行事例は素晴らしいお手本です。
後発企業が”最高の二番煎じ”を市場に送り出すためには、このお手本から何を学ぶかが大切です。
先行事例で注目すべきポイント
後発企業が「遅いもの勝ち」となるためには、先行事例の多くの点に注目すべきですが、ここでは、成功例を交えながら意外と軽視されている2つのポイントに絞って説明します。
バリューチェーンの分析
成功例 海外のスーパーマーケットで販売されている日本産青果物が高いのは、ほとんどの場合バリューチェーンの輸送(空輸)費によるところが大きい。これを特殊鮮度保持技術を用いて船便で輸送することで買い物客に新鮮でおいしいリンゴを安く提供。また、販売価格を安くできたことで新しい消費者層を獲得。
市場調査で多くの方が注目する価格ですが、小売店やECサイトでの販売価格だけに注目し、バリューチェーンまで踏み込んで調査される方は意外と多くありません。
バリューチェーンとは商品やサービスが顧客のもとに届くまでの一連の活動を価値の連鎖として捉えたもので、どこでどのように付加価値がついているのか分析することで後発組には不利と言われる価格競争も優位になる可能性がでてきます。
先行事例のネガティブな点にも注視
成功例 人気も知名度も高い割には価格の高騰などが理由で、海外では日本のウイスキーが売りづらいという飲食店・バーも増加。焼酎を樽で長期間熟成しウイスキーと変わらない新しい蒸留酒を開発し市場参入したところ後発品でありながら、プライスコントロールと真新しさをPRでき、少しづつ販路を拡大。
先行事例は成功例だけではありません。諸々の問題により上手くいっていない事もあります。現地の生の声を拾うというのは、こうしたネガティブな点も含めた現地情報を入手することです。
売れている商品だけでなく、売れ行きが鈍くなった商品や、市場から消えてしまった商品にも注目し、その理由を突き止めましょう。
先行事例を学び販売戦略を立てる
販売戦略とは自社の商品やサービスをどのように販売していくかという計画や方針で、具体的には
①だれに、
②どういう価値を
③どのように提供するか
という戦略です。販売戦略をたてるうえで、もっとも大切なことは、消費者ニーズを知ることとニーズを満たすために自社の強みを活かせないか考えることです。
先発企業が海外で販売している商品を現地消費者が購入する(しない)理由は何か?なぜ必要とされている(されていない)のか?どんな評価がされているのか?自社の強みを活かすことで差別化が可能か?先行事例(成功事例/失敗事例)をいろんな角度から観察することでビジネスチャンスに繋がるヒントは見えてきます。
まとめ
海外にモノやサービスを売ることは、後発企業のほうが容易!
先発企業が切り開いた市場に後から参入することによる優位性:後発優位性 主なメリット 1.売れる可能性がある市場なので、失敗のリスクが低い 2.消費者ニーズに合わせた商品改良が可能 3.開発費・宣伝広告費を抑えることが可能
遅いもの勝ちの成功例
遅いもの勝ちした後発企業が先行事例で注目したポイント 1. バリューチェーン 2. 先行事例のネガティブな点
先行事例を学び販売戦略を立てる
後発企業が販売戦略をたてるうえで、大切なポイント 1. 先行事業を参考に消費者ニーズを把握すること 2. ニーズを満たすために自社の強みを活かせないか考えること