ビジネスネームの決め方、海外で働く日本人に英語名は必要か?

kamobsコラム

~kamobsコラム Vol.7~

中華系シンガポール人の多くは英語名を持っている。出生証明書や身分証明書などに記載される本名として持っている場合と、それとは別に通称として英語名を持っている場合がある。

妻は通称として英語名を持っているが、普段の生活では本名である中国語名を使っているため、彼女の英語名を知っているのは友人などごく一部の人たちだけだ。

3人の義兄と3人の義姉も英語名を持っている。そのうち顔と英語名とのギャップが一番小さい義兄1人が普段から英語名を使っている。

在留日本人でもビジネスネームとして英語名を持っている方もいらっしゃる。名刺だけみるとハーフか米国生まれかと思ってしまうが日本生まれで日本育ちの日本人だ。

シンガポールの日系企業の日本人駐在員はローカルスタッフから苗字に“さん”を付けて呼ばれることが多かったりするが、お気に入りの英語名をビジネスネームとしている日本人もいる。

なかには夫婦ともに英語名を持つ在星歴の長い諸先輩もいらっしゃる。あるご夫婦は二人そろって大の映画好きで、それぞれ有名な俳優と女優の名前を自分たちの英語名にしている。

自ら好きな英語名を選んでいる方がいる一方で、職場でなかば無理やり英語名をつけられたという日本人にもお会いしたことがある。

以前、日本人駐在員全員が英語名を持っていた(つけられていた)日系企業に訪問したことがある。今もそのカルチャーが残っているのかどうかわからないが、同じ日本人がローカルスタッフから英語名で呼ばれていた職場には独特の雰囲気があった。

人口545万人のうち約3分の1が外国人で、国際ビジネスの拠点として発展してきたシンガポール。ビジネスシーンでは英語名を持っていることで顔と名前を覚えてもらいやすいという利点があるのは否定しない。

先日、在星歴20年の米国人と彼の同僚のシンガポール人と食事をする機会があり、シンガポールで働くのであれば、覚えてもらいやすいビジネスネームを持っているほうが有利だという話題で盛り上がった。

米国出身の知人は、個人的意見だとしながらも、シンガポール人は英語でのコミュニケーションに問題がないため、彼ら・彼女らが英語名を持っていることに違和感がないという。一方、日本人の場合は英語力が乏しいと仮に英語名を持っていたとしても顔と名前がしっくりこないこともあるそうだ。

シンガポール人の知人いわく、日本人の場合は名前(Given Name)の一部をビジネスネームとして使うほうが自然で、親しみもわくという。日本人男性の場合、英語圏では名前の最初の2音をとって呼ばれることが多い(TAKAHIROならTAKA)ので、それをそのままビジネスネームとして使うのがいいという。一方で、日本人女性の名前は3音か2音で発音しやすいから、名前で普通に呼んでいるようだ。

彼らの職場に日本人が数名いるそうだが、女性はそのまま名前で呼ばれ、男性同僚は、やはり4音の名前の最初の2音で呼ばれているそうだ。

ビジネスネームというテーマを肴に、お酒のペースが上がり、話し方が少し乱暴になる知人たち。お酒がなくなったころには、「そもそも日本人が英語名を持つことはナンセンスなんだ」と言い切る始末。

自分を名前(4音)の最初の2音で呼んでくれる彼らに、妻の親戚からは勝手につけられた英語名で呼ばれていることを言えず、愛想笑いを浮かべ箸を置いた。


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