2月16日に導入される「国家インターネットゲートウェイ(NIG)」により、野党やメディアへの圧力が強化されると人権団体が批判している。
NIGと名付けられたシステムは政府が指名した通信会社が運営。すべてのプロバイダーがNIGへの接続が義務付けられているネット上の情報を統制する。国連の人権専門家もこうしたネット検閲は表現の自由とプライバシーに破壊的な影響を与えると警告している。
カンボジアではフン・セン首相の強権支配の下、ここ数年、ネット上の政権批判を理由に数十人が逮捕されている。そのうちの1人ヒップホップアーティストのケア・ソクン氏は、不当な権力や汚職についての歌詞が政府に不満を抱いている若者の心に響き、Youtubeでは数百万回の再生回数を記録した。
ソクン氏は自身の逮捕について、国民を威嚇するための見せしめにすぎないと主張し、NIG導入により今後は自由に自分の意見を述べるのは難しくなることを強調した。
NIGが完全に機能すると、すべてのプロバイダーには政府に都合の悪い情報を提供するウェブサイトへの接続をブロックするよう命ぜられる。カンボジアでは来年に選挙が予定されているが、フン・セン政府は世論調査の準備段階でネット上での政府に対する反対意見を阻止できるようになる。
オーストラリアのRMIT大学のサイバーセキュリティ専門家であるマット・ウォーレン氏は、2023年の世論調査に先立って、亡命中の著名な野党勢力が国内の政治的議論に加担するのを阻止するためにNIG導入に踏み切った可能性があると指摘した。
ネット上のトラフィックを単一のポイントに介すインターネットゲートウェイについては、2015年タイでも当時の与党が検討。ただし、技術的な障害またはサイバー攻撃のいずれかにより、国が遮断されやすくなることから多くの企業からの猛反発を受け断念した。
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