【インドネシア】 低生産性の仕事に苦戦 世界銀行が雇用の質に警鐘

インドネシア
The World Bank noted that one in seven young people in China and Indonesia are unemployed. PHOTO: AFP

アジアの若者が「良い仕事」を見つけられず苦戦しており、この状況が社会の安定を揺るがす恐れがあると世界銀行が警告している。生産性の低い仕事に就く若者が多く、失業や不平等への不満が各地で若者主導の抗議デモを引き起こしているという。

世界銀行が10月7日に発表した地域経済報告によると、中国とインドネシアでは7人に1人の若者が失業しており、多くのアジア諸国で若年層と経験豊富な労働者との間に根強い格差が存在する。報告書は「就業率は概ね高いが、若者は仕事探しに苦労している」と指摘。仕事を探せば多くの人は何らかの職を得るものの、「多くは非正規や低生産性の仕事に就いている」と述べている。

また、太平洋諸国や女性の労働参加率は依然として低く、インドネシア、マレーシア、フィリピンでは男性との差が約15ポイントに達しているという。

さらに、雇用の多くが製造業から低賃金のサービス業に移行しており、かつて多くの人々を貧困から救った経済成長の恩恵が失われつつあると報告書は警鐘を鳴らしている。

近年、フィリピン、モロッコ、マダガスカル、インドネシア、東ティモール、ケニア、モンゴルなど、アジアやアフリカ各地でZ世代による大規模なデモが頻発しており、汚職、失業、格差拡大への抗議が広がっている。こうした抗議の一部は、支配層の贅沢な生活ぶりへの怒りに端を発しており、ネパールやバングラデシュでは政権崩壊にもつながった。

アジア諸国のデータを見ると、15~24歳の失業率はモンゴル、インドネシア、中国などで10%を超えている一方、25~54歳では5%以下にとどまっている。

また、創業5年以内の企業は雇用創出に大きな役割を果たしている。マレーシアやベトナムでは全雇用の57%を占めながら、新規雇用の79%を生み出している。しかし、新しい企業の市場参入が減少しているため、その影響力は弱まっているという。

一方で、カンボジアやベトナムでは貿易が雇用を押し上げているが、その恩恵は国全体に均等には及んでおらず、世界的な経済変動に脆弱であると指摘された。

世界銀行は「労働者を低生産性の分野から高生産性の分野や企業へと移すことで得られる利益を、各国は十分に享受できていない」と結論づけている。

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