【マレーシア】映画産業が成長の兆し、国際的映画祭での成功が後押しか?

マレーシア

マレーシアの映画業界が活気づいている。3月にはアカデミー賞でミシェル・ヨーがアジア人初となる主演女優賞を受賞、5月には、映画監督のアマンダ・ネル・エウ監督がマレーシア人として初めてカンヌ国際批評家週間で審査員大賞を受賞するなど国際的な映画祭で成功を収めている。

マレーシアは国民の大半がイスラム教徒であり、映画を公開するためにはマレーシア映画検閲委員会の審査を受ける必要があるなど、映画業界には厳しい制限もある。そんな中、特にエウ監督のようにマレーシアの女性映画監督が、海外に移住することなくカンヌで輝かしい賞を受賞したことで、マレーシアの映画産業は変わりつつあると関係者は語る。

検閲のため、これまでマレーシアの映画業界は市場規模が小さく、資金調達の面でもアジアではタイや韓国に大きく遅れているなど課題が山積していたが、映画製作者やプロデューサーが芸術的ビジョンを持って自由のために新たな道を模索しており、才能と努力でチャンスが切り開けることが証明された。

昨年、地元企業のKuman Picturesは、クラウドファンディングプラットフォームIndiegogoを通じて335,981リンギット(1,035万円)を集め、2023年後半の公開を予定している人種隔離国家を舞台にした映画「Pendatang (Immigrant) 」を製作した。

設立者のアミール・ムハンマド氏は自身が過去に製作した映画『最後の共産主義者』(2006年)とその続編『Apa Khabar Orang Kampung』(2007年)はマレーシアで上映禁止となったが、世界はよりボーダレスになっており、映画監督が自分の名を上げるために、もはや海外に進出する必要はないと述べている。

ムハンマド監督は、「主な制約は検閲だけではなく、個人(映画製作者)の才能や意欲または気概のなさも原因のひとつだ」としたうえで、「もし映画が検閲に引っかかったら、ストリーミング・プラットフォームに売ることができし、オンラインで無料公開することもできる」と語っている。

昨年は英国の植民地主義者と戦ったマレー系愛国者の史実をベースに製作された地元映画『Mat Kilau: The Rise Of A Warrior』が、マレーシア映画史上最高興行収入となる9700万リンギット(約29.9億円)を記録。地元作品に対して国内での需要があることを証明した。

※ソース

International successes set to boost creativity of Malaysia’s film industry
Despite censorship and other challenges, film-makers are finding new avenues to express their creativity. Read more at straitstimes.com.
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