抗体薬物複合体(ADC)として開発されたEBC-129が、シンガポール製のがん治療薬として初めて米国食品医薬品局(FDA)の承認を経て臨床試験される予定だ。
EBC-129は、バイオプロセス技術研究所(BTI)、実験薬開発センター(EDDC)、シンガポール国立がんセンター(NCCS)、分子細胞生物学研究所(IMCB)による共同研究のもと開発されたバイオ医薬品である。
科学技術庁(A*STAR)傘下のBTIの副所長Andre Choo博士は、「これは、がん治療の標的療法として設計された非常に強力な新種のバイオ医薬品だ」と述べている。
EBC-129は現在、シンガポールで患者を対象とした臨床試験を開始するため保健科学庁(HSA)および関連する倫理委員会の承認待ちであり、EDDCの資産開発リーダーであるVeronica Diermayr博士は、2月下旬から3月上旬の開始を期待しているという。
Diermayr博士によると、本臨床試験の初期段階では、転移性固形腫瘍のがん患者を対象に、EBC-129の安全性と忍容性を判断し、その後は異なる種類の腫瘍におけるEBC-129の抗がん作用を評価する予定だという。
米国FDAは、固形癌患者を対象としたEBC-129のファーストインヒューマン試験を既に承認している。EDDCは、主要ながんセンターを含む米国内の試験施設の倫理委員会から承認を得る予定であると述べている。
BTIのエグゼクティブディレクターであるKoh Boon Tong博士は、プレスリリースで「EBC-129の試験開始に対するFDAの承認は、我々のプラットフォームと、患者さんの転帰につながる研究と創薬のインパクトを共同で高めるシンガポールの医薬品開発エコシステムの成熟度を証明するものです」と述べています。