物価高が続くの中、光熱費や人件費を削減するために、人工知能(AI)やセンサーを取り入れたスマート設備管理システムを導入する建物が増えている。
こうしたスマート設備管理システムは、建物のグリーン化にも役立てられており、ある設備管理アプリケーション開発会社では、利用数が昨年より30%増加しているという。
同システムを導入したコンドミニアムThe Floravaleでは、車での訪問者は事前にQRコードをスキャンするだけ守衛所でサインすることなくコンドミニアムに入ることができる。これにより The Floravaleでは警備員を1人減らし、年間で5~6万シンガポールドルの人件費を削減。
同コンドミニアムは、事務処理がかさみ始めた2年ほど前にデジタル化に移行。スマート設備管理システムによって居住者は支払いやメンテナンスの問題点をより簡単に指摘できるようになった。また、プールではセンサーを使って水質を監視する計画もある。
不動産テクノロジー会社のコーナーストーン社が開発したこのシステムにより、754戸のコンドミニアムの管理職員はわずか5人の体制になった。同社のアーネスト・オングCEOは、「建造環境は常に多くの人材を必要としており、それにかかる経費のプレッシャーから、最新技術の導入を検討せざるを得なくなっている」と述べている。
プラスチック製品を製造するフーユー・コーポレーションも、同様のスマート設備管理システムを使って、室温の測定から照明スイッチの遠隔操作まで、リソースを管理している。ソフトウェア・ソリューション・プロバイダーのセレクシオが開発したシステムを導入しており、センサーを使ってリアルタイムで監視している。
同メーカーは、システムを導入によりエネルギー利用が改善されただけでなく、総工数の約3分の1が削減されたという。また、データや財務などの業務も最適化されたようだ。
2050年までに排出量ゼロを目指すシンガポール政府は、スマート設備管理システムも建造環境のデジタル化計画の一部として補助金を出している。国内ではすでに多くの企業が2050年までにCO2排出量を実質ゼロとするために取り組んでいる。
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