シンガポール経済開発庁(EDB)が24日に発表した2023年2月の製造業生産高指数(19年=100、速報値)は106.8となり、前年同月から8.9%低下した。
2月は医薬品製造が急減し、生産高はブルームバーグが調査した民間エコノミストの予想1.8%減を大幅に下回わった。製造業生産高は5カ月連続の減少となった。
旧正月休暇が昨年は2月上旬であったのに対し今年は1月下旬であり、ANZのアジア調査部門責任者クーン・ゴー氏は、「昨年に比べ、今年の2月は労働日数が多かったことを考えると、この結果は深刻だ」と述べている。
一般的に変動の激しいバイオメディカル製造業を除くと、生産高は前年比4.9%減だった。また、季節調整済前月比では、前月の0.4%減に対し、2月は11.7%減だった。バイオメディカル製造業を除くいた前月比では8.1%の減少となった。
2月の製造業の業績は、同月に5ヵ月連続で縮小した非石油国内輸出(NODX)の低迷ぶりを反映。これは、2023年の成長見通しに対する課題を浮き彫りにしている、とINGのシニアエコノミスト、ニコラス・マパ氏は指摘している。ANZのゴー氏は、NODXの低迷は今後数カ月間の工業生産のさらなる下振れを示唆していると付け加えた。
メイバンクのエコノミスト、チュア・ハク・ビン氏とリー・ジュ・イェ氏は、中国の再開は今のところ製造業と輸出に「意味のある」影響を及ぼしていないと指摘したうえで、中国の再開は、第2四半期以降の成長に、より顕著で目に見える影響を及ぼすと予想している。
一方で、チュア氏とリー氏は、米国の銀行の混乱が、米国の景気後退の可能性を高め、米国の消費者需要を弱める可能性があると付け加え、シンガポールは、中国の再開による後押しで、米国の景気後退から脱却できるかどうかが焦点になると述べた。
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