シンガポール経済開発庁(EDB)が24日に発表した2024年4月の製造業生産高指数(19年=100、速報値)は116.7となり、前年同月から1.6%低下した。
一般的に変動の激しいバイオメディカル製造業を除くと、4月の生産高は前年比1.7%増だった。バイオメディカル・クラスターは4月に29.1%と急減、これは主に製薬部門によるものだった。
エレクトロニクス部門は前年比1.1%減少。同部門の一部は拡大したものの、シンガポールのエレクトロニクス生産の大部分を占める半導体の2.6%減を相殺することはできなかった。
一方、その他セクターは、生産高が10.6%増加した輸送用エンジニアリングを筆頭にすべて拡大した。海洋・オフショア・エンジニアリングは、造船所の活動改善や石油・ガス田用機器の生産増加に支えられ、生産高が18.8%増となり、輸送エンジニアリング部門の中でも際立っていた。
航空宇宙部門も好調で、世界的な旅行需要の力強い回復が続く中、民間航空会社からの需要が増加し、生産高は8.2%増加した。一般産業は7.3%増、化学は3.1%増、精密工学は2.9%増となった。
民間エコノミストからは半導体製造業の低迷が予想外だったとの声が多く、エセック・ビジネススクールのジャマス・リム准教授は「エレクトロニクスの低迷は、昨年末にピークを越したように見えただけに驚いている」と語った。
今後の製造業の回復について、OCBC銀行のチーフエコノミスト、セレナ・リン氏は、「セクターによるばらつきがみられるものの、2024年後半には世界的な回復にともない、シンガポールの国内製造業は恩恵を受けるはずだ」と指摘した。
DBSのエコノミスト、チュア・ハン・テン氏は、「スマートフォンやPCの買い替え、人工知能アプリケーションの利用拡大によって需要が下支えされる可能性が高く、エレクトロニクス生産は、現在進行中の世界的なハイテク好転から恩恵を受ける」と予想している。
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