シンガポール貿易産業省(MTI)は11月22日、輸出の穏やかな改善により2024年は1-3%の経済成長率が見込まれると発表した。また、最新の四半期経済調査報告書の中で、輸出需要が低迷する中、今年通年の成長率は1%程度になると述べた。
MTIによると、第3四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比1.1%増となり、第2四半期の0.5%、第1四半期の0.4%を上回るペースとなった。この成長率はMTIの事前予想0.7%をも上回った。
アナリストによれば、第3四半期の結果が予想を上回ったことは、上半期の成長が低調だった後の安定化の兆しである可能性があり、2024年に向けての回復の可能性を示唆するかもしれないという。
第3四半期のGDP(季節調整済)は前期比1.4%で、第2四半期の0.1%から加速。航空旅行やインバウンド観光の回復が続いており、航空運輸や宿泊施設などのセクターを後押しした。また、回復力のある労働市場の状況は、小売業や飲食サービスなどの消費者向けセクターを引き続き下支えしている。一方で、金利上昇と中国経済の予想以上の鈍化により、全体的な成長は低迷を続けている。
DBS銀行のエコノミスト、チュア・ハン・テン氏は、第3四半期のGDPがサプライズ的に上昇したことは、景況感の改善と一致していると指摘。「重要なエレクトロニクス分野では、シンガポール企業は、サプライチェーンを混乱させる可能性のある地政学的リスクが残っていることを認識しながらも、在庫消化に続き、世界的な半導体販売の緩やかな回復から、景況感の改善を見込んでいる」と述べた。
MTIは、米国やユーロ圏などの主要経済圏のGDP成長率については、金融環境の引き締まりが続くため、2024年前半にはさらに鈍化し、後半には徐々に回復すると予測している。
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