Covid-19を機に、被雇用者が精神疾患を保障対象とする保険を求めるようになり、企業が福利厚生にメンタルヘルス補償を含む保険を取り入れる傾向が続いている。
AIAシンガポールによると、法人顧客のうち精神疾患を保障対象とする保険を適用する企業数の割合は2020年の1%未満から2023年には約10パーセントに上昇したという。Mercerシンガポールの場合、医療給付の中にメンタルヘルスケアを含める企業数の割合が、2019年の6パーセントから2021年には10パーセントに増加した。
Great Easternによると、一般開業医によるメンタルヘルス相談をカバーする保険を選択した企業の割合は、2019年の2.2パーセントから、2023年4月時点で16.8パーセントに急増。また専門医への紹介に対する保険の適用率は、2019年の0.9パーセントから2023年4月時点で7.7パーセントに増加した。
Mercerシンガポールのニール・ナラレ代表によると、パンデミック時には事務系や販売系の業務に従事して多くのホワイトカラー社員が在宅勤務を余儀なくされ、燃え尽き症候群の問題が注目されるようになり、多くの企業がメンタルヘルスケアの重要性を認識し始めたという。
またナラレ代表は、「メンタルヘルスケアの補償に関しては、社員から声が上がっている懸念事項であり、雇用主が社員の意見に耳を傾け、積極的に対応策を改善する傾向がみられる」と述べている。
AIAシンガポールでは、人材確保に向けた取り組みの一環としてメンタルヘルスケア対策を改善することで、従業員の働くモチベーションを高め、結果として企業の収益アップに繋がると指摘している。
各保険会社の保障内容は、24時間365日対応のカウンセリング・ホットライン、一般開業医による診察、精神科医や臨床心理士による専門外来サービスの紹介、投薬、精神科入院治療など、多岐にわたる。
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