フィリピン政府は、中東危機に伴う燃料供給不安への対応策として、従来より環境負荷の高い低価格燃料の一時的かつ限定的な使用を認めた。供給の安定確保を優先する異例の措置である。
同国エネルギー省(DOE)によると、使用が認められるのは2015年以前の車両、従来型ジプニー、発電所・発電機、海運・船舶関連分野に限られる。対象となるのは、ユーロ2規格に適合した石油製品である。
DOEは声明で、この措置について「継続的で十分かつ利用しやすい燃料供給を維持するとともに、影響を受ける可能性のある部門に限定的な柔軟性を持たせることが目的だ」と説明した。
あわせてDOEは、ユーロ2燃料を販売する石油会社に対し、保管、輸送、小売りの各段階において、現行のユーロ4燃料と厳格に分別して取り扱うよう指示した。
フィリピンは2016年に、ユーロ2規格からより環境性能の高いユーロ4規格燃料へ移行した。現在もユーロ4規格が維持されており、硫黄含有量はユーロ2の500ppmに対し、ユーロ4では50ppmに抑えられている。
こうした措置の背景には、原油価格の急騰による国内燃料価格の上昇がある。先週には、米国とイスラエルによる対イラン戦争を受けた世界的な原油高を背景に、国内の軽油価格が2倍超に上昇し、数千人のジプニー運転手が各地で抗議デモを行った。
フィリピン政府は、コスト上昇の影響を抑えるため、週の勤務日数短縮や燃料補助金の支給などの対策を進めている。さらに議会は大統領に対し、燃料税の停止または引き下げを可能にする緊急権限を付与した。
マルコス大統領は3月22日に公表したビデオメッセージで、燃料供給の確保に向け、インド、中国、日本、韓国、タイ、ブルネイと供給面での協議を進めていると明らかにした。
中東産原油への依存度が高いフィリピンは、調達先の多角化も急いでいる。3月には、過去5年で初めてロシア産原油を輸入する見通しである。
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