情報通信メディア開発庁(Infocomm Media Development Authority:IMDA)は、量子コンピュータを活用したサイバー攻撃を防ぐため通信事業者と提携し、地域初の耐量子ネットワークを構築することを発表した。
量子コンピュータは、光の性質を利用して、従来のコンピュータでは複雑すぎる問題を解決する次世代コンピュータで、医療分野などでの革新を加速すると期待されてる。
一方で、量子コンピュータが悪用されれば、パスワードや現在の暗号化技術を数秒で解読できるようになり、病院や銀行、重要なサービスを運営する組織にリスクをもたらすことになる。
IMDAは、新たに開始された全国量子安全ネットワーク・プラス(NQSN+)プログラムの下、認定事業者がそれぞれ全国規模の量子安全ネットワークを構築し、それに接続された企業を保護することができると述べている。
すでにIMDAは、大手通信会社SingTel、ネットワークプロバイダーのSPTelと量子通信システム開発会社のSpeQtralによる共同ローカルパートナーシップからの提案を高く評価し実用化に向け動いているという。
SingtelのマネージングディレクターLim Seng Kong氏は、ネットワークが共有するデータを保護する方法の1つとして、量子鍵配送(Quantum Key Distribution, QKD)と呼ばれる、量子力学の性質を利用した暗号が実装された安全な通信方式を挙げている。
量子鍵配送では、通信を行う二者間のセキュア通信を保証するためにランダムに生成された秘密鍵を共有し、その鍵を使って情報を暗号化・復号する。これら秘密鍵は、データを傍受しようとすると伝送が中断され、エラーが発生する仕組みとなっている。
病院や銀行などの重要な情報インフラは、まもなくこのシステムを利用できるようになり、量子安全通信をサポートするための独自のインフラを構築する手間が省けるという。
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