自転車部品や釣り具を製造するグローバル企業のシマノは、シンガポールオフィスを東南アジア域内の新市場開拓および投資を拡大すべき市場を決定する統括本部として、これまで以上に期待を寄せている。
島野容三会長は3月6日、日経アジアとのインタビューで、シンガポールは日本本社への助言だけでなく、海外にあるシマノの全工場の指揮を執るなど、同社の世界的な事業展開において重要な役割を果たしていると語った。また、アジアや中南米での自転車需要の高まりとともに、シンガポール事業の重要性も増していくだろうと付け加えた。
同社は、かつて多くの人々がスポーツバイクを贅沢品とみなしていた東南アジアに注目しており、中長期的にはこの地域が最終的にシンガポール工場の生産高の約20%を占めるようになると予想している。
島野会長は 「ベトナムのような国では、自転車は何よりもまず移動手段だが、経済が発展すればスポーツバイクの需要も増えるだろう」と述べた。
シマノグループは日本とシンガポールの他に、中国、チェコ共和国、インドネシア、マレーシアにも工場を持つ。今後は年間約400億円を施設と設備の両方に投資する見込みで、その約60%はシンガポールを含む海外事業に充てる。一方、同社は競技会や自転車メーカー、地元機関との協力を通じて、地域全体でサイクリングを推進していく。
ギア、変速機、ブレーキ、ホイールなど幅広い自転車部品を開発・製造するシマノは、世界で85%の市場シェアを持つと推定されている。これに対し、シンガポールは同社の中級コンポーネントの生産量の約70%を占めている。
シマノグループは2023年に、250億円を投じて、デジタル技術やロボットなど最新鋭の設備を導入した「未来の工場(Factory of the Future)」を開設した。
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