【シンガポール】ホテル業界、Q1は減速、 観光客数横ばいも収益減

シンガポール
Nirut PhengjaiwongによるPixabayからの画像

2025年第1四半期、シンガポールのホテル業界は宿泊料金、客室収益、客室稼働率のいずれもが前年同期比で減少した。国際観光客の訪問者数は前年とほぼ横ばいであったが、観光需要の勢いはやや鈍化した様子がうかがえる。特に3月の落ち込みが大きく、前年のイベントラッシュによる反動も影響したとみられる。

シンガポール政府観光局(STB)が5月7日に発表した統計によると、2025年1月から3月までの平均客室単価(ARR)は272.63シンガポールドルで、前年同期の281.94ドルから3.3%の減少となった。1月は前年比1.4%の増加となったものの、2月は3.4%減、3月は7.3%減と下落幅が拡大した。

販売可能客室1室当たり収益(RevPAR)も4.1%減の220.73ドル、客室収益は13億シンガポールドルで3.6%の減少となった。平均客室稼働率は80.96%で、前年同期の81.65%からやや下がった。

このような低調な業績は、観光客数の伸び悩みにも起因している。第1四半期の国際観光客数は431万人で、前年同期比0.1%増にとどまった。1月は旧正月や学校の冬休みを背景に15%増の163万人となったが、2月は2.9%減の138万人、3月は11.5%減の130万人と、全体の伸びを相殺する結果となった。特に3月は、前年にテイラー・スウィフトの「エラス・ツアー」、SHINeeのコンサート、スニーカーコンS.E.A.といった大型イベントが集中していたことによる反動が大きかったとSTBは分析している。

国別の観光客数では中国が最多で、83万1,470人が訪れた。1月の好調な動きに加え、査証免除制度の効果も大きく寄与したとされる。次いでインドネシア(64万257人)、マレーシア(31万2,218人)、オーストラリア(30万8,124人)、インド(26万1,456人)が続いた。

注目すべきは日本からの訪問者数である。前年同期比17%増の16万1,342人となり、すべての国・地域の中で最も大きな伸びを示した。2024年7月に開始されたSTBと旅行予約プラットフォーム「Klook」との提携により、日本市場向けのレジャー体験が拡充されたことが寄与した。また、前年の日本の海外旅行市場の回復が遅れていたことも、伸び幅を大きく見せる要因となった。

一方、前四半期(2024年第4四半期)と比較すると、いくつかの指標は改善している。ARRは前期の270.42ドルから上昇し、RevPARも215.76ドルから220.73ドルへ増加。客室収益は12.8億ドルから13億ドルへ、稼働率も79.79%から80.96%へと上昇した。

STBは今後の見通しとして、レディー・ガガのコンサート、Semicon Southeast Asia 2025といった大型MICEイベント、シンガポール・フットボール・フェスティバルの再開催など、多くの話題性あるイベントによって観光需要が高まることを期待している。年間では1,700万人から1,850万人の国際観光客と、290億〜305億シンガポールドルの観光収入を見込んでいる。

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