タン・トク・セン病院(TTSH)では、脳卒中患者のうつ病の発症を予防するため、メンタルサポートも含めた治療を強化しており注目を集めている。
TTSHは、メンタルヘルスケアと脳卒中治療を統合したCLIMB(Consultation-Liaison Interventions for the Mind and Brain)プログラムでこれまで約3,000人の患者をサポートし、脳卒中患者のうつ病発症率を抑えている。
TTSHによると、CLIMBモデルのケアを受けた患者は、同ケアを受けていない患者と比較し、脳卒中後5年以上経過した時点で、心身ともに健康状態である確率が3倍高いという。
脳卒中後のうつ病(poststroke depression:PSD)は、脳卒中発症直後に発症するうつ病で、脳卒中による脳へのダメージが一因とされてる。
CLIMBプログラムのディレクターであるチャン博士は、うつ病は回復を妨げ、脳卒中再発のリスクを高めるため、回復期における心の健康も同様に重要であると強調。
チャン博士は、PSDは将来的に脳卒中のリスクを高め、死亡のリスクさえも高めるとしたうえで、うつ病であるかどうかにかかわらず、患者が何らかの心理的サポートを望んでいると述べている。
TTSHが約1,700人の脳卒中患者を対象に行った調査では、20~25%の患者が入院中にうつ病を発症していることが明らかになった。患者が相談できる精神衛生の専門家がいなかったことが要因のひとつに挙げられた。
脳卒中患者の多くは家族に心配をかけたくないという思いから自分の気持ちを隠してしまう傾向があり、それがうつ病の発症に繋がるケースも少なくないという。
TTSHの精神科のクリニック・コーディネーターであるヌール・ディアナ・リム氏は、CLIMBプログラムは、患者の話を聞き、必要であれば治療を行うことで、患者の精神的ストレスを和らげるのに役立っていると話している。
※ソース
