5月の製造業生産高は8カ月連続で減少し、予想以上の不振に国内経済は2四半期連続でマイナス成長になる『テクニカル・リセッション』に陥る可能性高まった。
5月の製造業生産高は前年同月比10.8%減となり、12.3%減を記録した2019年11月以来の2桁減となった。ブルームバーグの世論調査でエコノミストによる事前予想の中央値は7.3%減だった。
26日に経済開発庁(EDB)が発表した改訂後の4月の生産高は6.5%減。5月は変動の激しいバイオメディカル製造業を除くと、生産高は前年同月比で13%減少した。前月比では、生産高は3.9%減少し、バイオメディカル製造業を除くと前月から8%減少した。
5月は輸出向け製造の45%を占めるエレクトロニクスの生産高が前年同月比23%減と大きく落ち込んだ。半導体生産高が26.8%減少したのをはじめコンピュータ周辺機器・データストレージが26.6%減、その他の電子モジュール・部品も9.2%減と不振を極めた。
OCBC銀行のチーフエコノミスト、セレナ・リン氏は、「5月の不振は、生成AI市場の拡大が期待されながら、世界的に景気後退が強まり半導体業界が減速したことを裏付けている」と述べた。
リン氏は2023年通年の製造業生産高は前年比3%減となる可能性があるとし、世界のエレクトロニクス産業、特に半導体の回復が2023年第3四半期から2023年末、あるいは2024年初頭にずれ込む可能性が高いと予想。さらに、このままだと、生産高は前年比5.1%減となった2015年以来の落ち込みを記録する可能性があると指摘した。
Maybank Investment Banking Groupのエコノミスト、チュア・ハクビン氏とブライアン・リー氏は、景気後退が不可避となり景気悪化が進んだ場合、政府はさらなる財政支援策を発表し、不況が深刻化すれば、2024年1月に予定されているGST税率の1%引き上げ(9%へ)は延期または中止される可能性があると述べた。
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