約180年の歴史を持つシンガポールでの競馬開催が幕を閉じることとなった。シンガポール競馬を統括するシンガポール・ターフ・クラブ(STC)は5日、来秋10月5日をもってクランジ競馬場での開催を終了すると発表した。
同競馬場は2027年3月までに閉鎖される予定で、約120haの土地は政府に返還され、ウッドランズ国境検問所周辺の再開発である「Remaking Our Heartland」プログラムによるウッドランズ・タウンの強化やリム・チュー・カン地区のハイテク農業食品クラスター化が計画されている。
5日に通信情報省で行われた記者会見でインドラニー・ラジャ財務・国家開発担当第二大臣は、簡単な決断ではなかったとしながらも、シンガポール人のニーズを満たすために資源を最適化し次の世代のために計画していくと語った。
財務省および国家開発省(MND)も共同声明で、「政府は、将来の世代のために十分な土地を確保しつつ、今日のニーズを満たすために土地利用計画を継続的に見直している」と発表し、クランジ競馬場の観客動員数の減少問題を指摘した。
MNDは、同競馬場跡地の再開発の決定により、将来の土地利用のニーズをよりよく満たすため総合的にマスタープランニングを行い、住宅以外にも、レジャーやレクリエーションなど、他の用途の可能性も検討していく。また、同地域で検討されている他の土地利用との整合性を含め、シンガポールで事業を継続する意向のある様々な馬術団体のニーズや要件も考慮されるという。
STCの職員は、2024年10月から段階的に再雇用される予定で、退職金パッケージのほか、カウンセリング、就職支援、個人的なキャリアガイダンス、技能訓練コースなどの移行支援を受ける。
STCの職員ではない競走馬の調教師と馬主は、馬の維持と輸出のためのサポートを受け、馬の輸出は、2024年10月5日の最終レース終了後に開始され、2026年3月までに完了する。
2024年10月5日開催の最後のレースは第100回グランドシンガポールゴールドカップとなる。
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