【タイ】大麻を再び非合法化へ、医療用途のみに制限

タイ
A new health ministry notification requiring medical prescriptions for cannabis was signed earlier this week and should become effective imminently.PHOTO: AFP

タイ政府は、医療用途を除く大麻の使用・販売を再び非合法とする方針を固めた。2022年の合法化以降、急拡大していた大麻産業にとって大きな転換点となる。新たな保健省の通知により、医療目的での処方箋を必要とする規制が今後施行される見通しだ。

保健相ソムサク・テープスティン氏は6月24日、今回の再規制の背景について「規制の欠如により1万軒以上の販売所が無秩序に増え、娯楽目的の使用が広がった。多くの苦情も寄せられている」と説明。将来的には、大麻を再び「麻薬」に分類する方針であると明言した。

タイはアジアで初めて大麻を合法化した国であり、観光地や都市部を中心に大麻ビジネスが急成長していた。特にバンコクのビジネス街やリゾート地では、外国人観光客をターゲットとした店舗も多数存在していた。

今回の方針転換の背景には、与党「タイ貢献党」と、合法化を主導した「プームジャイタイ党」との対立がある。両党は2023年の連立政権発足以降、大麻政策をめぐって繰り返し対立しており、今月プームジャイタイ党が連立を離脱したことで、合法化路線を維持する政治的支えを失った形だ。

新たな保健省通知は、医療用途への限定とともに、販売所に医師の常駐を義務付ける方針も盛り込まれる予定だ。政府はさらに、全面的な再非合法化に向けた法整備を進めていく。

一方で、2024年9月に公開された包括的な大麻法案(販売・輸出・生産を含む規制案)は、内閣承認も国会審議もされないまま、事実上廃案となる見通しである。

今回の方針転換により、観光業やスタートアップなど大麻産業に依存していた一部ビジネスへの影響が懸念されている。投資家や関連事業者にとっては、法改正の行方を注視する必要がある。

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