6月のプライド月間を契機に、LGBTQIA+コミュニティを中心とした「レインボー経済」が世界的に活況を呈している。中でもタイは観光、医療、文化コンテンツなど多方面で経済的恩恵を受ける国として注目を集めている。政府機関や民間企業もこの機運を活用し、インクルーシブな社会と経済の活性化を推進している。
観光庁の推計によると、タイのLGBTQIA+観光市場は年間で20億米ドル(約2,700億円)に達する見込みである。国内には600万人以上のLGBTQIA+当事者が存在し、年間で約1,500億バーツ(約59億シンガポールドル)を生み出すとされ、GDPを0.3%押し上げる効果があるとマヒドン大学は試算している。
さらに、タイは性別適合手術の分野で世界的に知られており、医療観光の市場規模は2025年までに1,600億バーツに達する見通しである。セントラル・パタナ社のマーケティング責任者ナタキット・タンプーシンタナ氏は、「タイはLGBTQIA+にとって心の拠り所であり、中国、韓国、中東の旅行者にとっても文化的な祝祭の中心地と認識されている」と語る。
文化分野でもタイの存在感は高まっている。タマサート大学によると、人気のガールズラブ(GL)シリーズは世界中で視聴され、累計再生回数は8億回に上る。今後の経済効果は年間20億バーツに達すると見込まれている。
タイでは2024年に同性婚が合法化され、2025年1月に施行された。これにより、東南アジア初の同性婚合法国となり、観光や投資の新たな促進要因としても期待されている。欧州では、スウェーデン、オランダ、デンマークなどで同性婚への支持率が9割を超えており、世界的に包摂的な社会への動きが加速している。
こうした状況を踏まえ、セントラル・パタナは「Thailand’s Pride Celebration 2025:Pride For All」を立ち上げた。全国のショッピングセンターを多様性を尊重する空間へと変え、6月の1か月間で約130万人の来場を見込んでいる。これは前年の100万人を大きく上回る規模である。
LGBTQIA+人口は世界で4億〜8億人とされ、世界人口の5〜10%を占める。旅行市場だけでも2025年には3,570億米ドル、2032年には6,000億米ドル超に成長する見込みであり、「レインボー経済」は今後も各国の経済戦略において無視できない存在となりつつある。
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