出生率の低下により目標定員を満たすことができていない大学が増えており、近い将来、多くの大学が経営危機に直面することになると教育専門家が指摘している。
国立開発行政研究院(NIDA)応用統計大学院のアーノンド・サクウォラウィッチ氏は、出生率低下の影響により、大学に進学するタイ人学生数が減っており、現在200~300の大学ですでに定員割れが続いているという。
サクウォラウィッチ氏は、学生の人口が減少しているなか、大学全体が健全な対策を講じなければ、今後5年間で経営破綻に陥る大学が増え、間違いなくタイの教育システム全体に影響を及ぼすと警鐘をならす。
タイの大学のなかには、生き延びるために中国人留学生を積極的に受け入れ、学生総数の半分を中国人留学生が占める大学もある。タイには現在、約300万人の中国人留学生が大学に籍を置いていると言われる。
これら中国の学生は、タマサート大学、チュラロンコン大学、ニダ大学などで、1学期あたり40,000~50,000バーツ(16万3,000~20万4,000円)の授業料を支払い、少子化で厳しい経営環境のなかで学校経営の巧妙化を支えている。
タイでは合計特殊出生率が1960年から1970年代の6.1から、2020年には1.24まで低下した。過去5年間は出生数が減少し続けており、30年前、年間100万人を超えていた出生数は、2021年には過去60年間で最も少ない54万4,000人となった。2023年の年間出生数も50~60万人と推測されている。
また、タイでは少子高齢化が進んでおり、2027年には高齢者人口が総人口の28%を占めるとも言われている。少子高齢化に直面しているタイでは、出生率を高めることより高齢者の生産性向上を促す取り組みが必要だとの議論も高まっている。
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