ベトナムコーヒー・ココア協会は、2030年のコーヒー輸出額を現在の2倍にあたる約60億米ドル(約6,840億円)とする目標を掲げた。目標を達成するには、生豆に焦点を当てるのではなく、輸出全体に占めるコーヒー豆加工品を現在の10%未満から25%以上に拡大することに注力すべきとの見方が強い。
現在、ベトナムには160のコーヒー焙煎施設、11のコーヒー豆ブレンド施設、8つのインスタントコーヒー加工施設がある。インスタントコーヒー加工施設は少数なうえ、加工技術、工場運営、生産者の意識などに問題があり、生産能力が期待を大きく下回ったまま稼働している。また、ベトナムのインスタントコーヒーは認知度が低く、今後の輸出拡大にはブランディングなどへの多大な費用と労力が必要となる。
Đỗ Thắng Hải 産業貿易副大臣は、60億米ドルの目標を達成するためには、持続可能なコーヒーバリューチェーンの構築に向けて、生産と貿易の関係を強化し、ブランド力が期待できる商品を開発し輸出市場を拡大していく必要があると述べた。
Lê Minh Hoan農業農村開発大臣は、コーヒー産業が持続可能な開発を望むのであれば、タイグエン地区で栽培されるコーヒーのブランド化を進め、生産地と経済地域間の連携を強化する必要があると指摘した。農業農村開発省(MARD)は中央高地の生産地で物流インフラを導入するなど持続可能な事業への支援を継続している。
今後は欧州・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)や地域的な包括的経済連携(RCEP)協定により欧州市場、日本市場とのアクセスが容易になることへの期待が高まる。同時に、欧州、日本に米国を加えた各市場に参入するための戦略がより重要となり、地元企業は市場シェア、味、品質、価格条件などを調査し、明確な方向性を打ち出す必要に迫られる。
ベトナムコーヒー・ココア協会は、2022年も世界のコーヒーは引き続き高値で取引されると予想。新型コロナの影響でコロンビアなど南米諸国の主要なコーヒー生産国からの供給が限定され、国際港の混雑も長引くことが予想される。
2021年、ベトナムのコーヒー輸出は152万トンで、輸出額は約30億ドル(約3,453億円)に達した。輸出量は前年比2.7%減だったが、輸出額は前年比で9.4%増加した。アラビカ種が生産不足に陥っていることから主にロブスタ種を輸出。今後はロブスタ種の品質を向上させることでベトナムコーヒーの付加価値を高め差別化を図る。
2021年12月の輸出量は前月比21%増の13万トン。輸出額も26.2%増加し、3億500万ドル(約403億円)だった。12月のコーヒー輸出平均価格は1トンあたり2,344ドル(約27万円)で2017年6月以来の最高水準だった。
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