気候変動が世界のコーヒー市場に大きな影響をもらたしており、主要産地の1つであるベトナムも危機感を募らせている。
ベトナムは、病気や害虫に強く、気温や湿度の変化にも比較的耐性があるロブスタ種のトップ生産国であるが、ベトナム国立大学などが2021年に発表した研究によると、近年、長期にわたる乾燥と灌漑用水の不足がロブスタコーヒー生産に深刻な影響を与えているという。
厳しい生育条件により、ベトナムの農家は換金作物としてのコーヒーの価値を疑問視するようになり、一部の農家はコーヒー栽培から東南アジア全域と中国で需要が見込める黒胡椒やドリアンの栽培に切り替えている。
このような状況下で供給量が減少し、2023年のロブスタ種コーヒーの価格は、少なくとも2008年以来の高値まで上昇している。
換金作物に関する2022年の研究によると、よりマイルドで香り高いアラビカ種のコーヒー豆は気候変動に対して最も脆弱であり、その生産に適した地域は主に気温上昇により世界的に縮小している。すでにアラビカ種からより丈夫なロブスタ種の生産への切り替えもみられる。
世界のコーヒー業界がイノベーションを促進するために設立した組織World Coffee Researchの最高経営責任者、ジェニファー・ロング氏は、「ロブスタ種は気候変動に対する特効薬ではない」とし、天候パターンの変化によって収穫量が劇的に減少する可能性があると警鐘を鳴らしている。
World Coffee Researchが10月に発表した報告書の中で、消費量の増加傾向や気候変動が生産に与える影響を考慮すると、2040年には世界で3500万袋(典型的なサイズ60㎏あるいは69㎏)ものロブスタ種が不足する可能性があると述べている。(現在、世界では年間8,000万袋近くのロブスタ種が生産されている)。
ロブスタコーヒーの主要な消費者であり、ベトナムのコーヒー生産量の約4分の1を購入しているNestleは、2022年、ネスカフェは2030年までに10億スイスフラン(1,670億円)以上を投資し、ネスカフェブランドにコーヒーを供給する生産者に対し、異常気象が作物を脅かす中、より持続可能な農法を使用し、適応するよう奨励している。
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