2023年、ベトナム国内の外国直接投資(FDI)企業約2万9000社のうち、56%以上が赤字を計上した。財務省の報告によると、累積損失を抱える企業は1万8100社に上り、FDI企業全体の損失額は前年より32%増の217兆4600億VND(約85億ドル)に達した。
企業の売上高や利益が減少する一方で、登録資本金は34.5%増加し、394億ドルとなった。政府は、移転価格の悪用や税逃れの可能性を懸念し、FDI政策の見直しを検討している。
財務省の報告によれば、FDI企業の売上高は前年比4.3%減の9410兆VND、利益は16%減の337兆VNDとなった。その一方で、FDI企業への投資は依然として活発であり、投資の多くは中小規模のプロジェクトに向けられている。
FDI企業の多くは、部品を輸入して組み立てた後に輸出するビジネスモデルを採用しており、ベトナム国内での付加価値は限定的である。また、同国の税制優遇措置や低コストの労働力を活用することで競争力を維持しているに過ぎないとの指摘もある。
財務省は、長年赤字を計上しながらも投資を拡大するFDI企業の実態を問題視している。中には、高い売上と利益を上げながらも、納税額が極めて低い企業も存在する。こうした状況を受け、財務省は政府に対し、FDI政策の見直しを要請した。
特に、移転価格を利用した利益の国外流出や税逃れを防ぐため、監査の強化が求められている。移転価格とは、企業グループ内で異なる国にある部門同士が財やサービスをやり取りする際に設定する価格を指す。この仕組みが悪用されると、本来支払うべき税金が不当に抑えられる可能性がある。
さらに、財務省は現在進行中のFDIプロジェクトについて、非効率な案件や環境への悪影響が懸念される案件を精査するよう政府に求めている。FDI企業の経済効果を最大化し、持続可能な成長を確保するためにも、政策の見直しが急務となっている。
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