【シンガポール】高速鉄道「RTSリンク」の初号車が完成

シンガポール
Each train car has 32 seats, including four that can be folded to make space for a wheelchair, a pram or luggage.ST PHOTO: KEVIN LIM

2026年末の運行開始を予定している、シンガポールとマレーシア・ジョホールバルを結ぶ高速鉄道「RTSリンク」の初号車が完成し、6月30日にシンガポールで公開された。無人運転の4両編成で、7月からトゥアスにある試験施設(Singapore Rail Test Centre)で試験運転が始まる。

RTSリンクは、1時間あたり最大1万人(片道)の輸送が可能で、両国間の移動時間をおよそ5分に短縮する。慢性的な渋滞に悩むコーズウェイの混雑緩和が期待されている。

公開イベントには、シンガポールのシオ運輸担当相代行、マレーシアのアンソニー・ローク運輸相、ジョホール州のオン・ハフィズ州首相らが出席。運行を担うRTSオペレーションズ(RTSO)のカイリル・アマド会長は、「RTSリンクは単なる交通インフラではなく、両国のパートナーシップを象徴する存在になる」と述べた。

RTSOによると、6月時点でRTSリンクの建設工事は56%が完了。線路の敷設は7月末までに終える見通しで、電力供給システムの設置なども順調に進んでいる。

RTSリンクの運行時間は毎日午前6時から深夜0時まで。ピーク時には3.6分間隔で運行され、最高時速80kmで走行する。1編成の乗車定員は最大1,087人で、通常時の快適定員は607人。各車両には32席が設けられ、そのうち4席は折りたたみ式で、車椅子やベビーカー、荷物などにも対応できる。

さらに、聴覚障害者向けに、補聴器に直接アナウンスを届ける「磁気誘導ループシステム」も導入される。これはシンガポールとマレーシアの鉄道として初めての取り組みで、周囲の雑音なしに音声を聞き取れるよう配慮されている。

非常時には、非常ボタンで管制センターと通話が可能。列車が停止している場合に限り、赤いハッチを開けて避難できる構造となっている。ハッチの開放は警報システムと連動しており、安全対策も万全だ。車内には火災・煙探知機や換気用の小窓も備えられている。

この初号車は2025年第4四半期までに、信号システムやホームドアとの連携を含む一連の動作テストを完了予定。その後、実際の運行区間となるシンガポールのウッドランズノース駅からジョホールバルのブキチャガー駅までの区間で、本格的な走行テストが2026年第3四半期まで行われる。

残る7編成のうち、次の4編成はマレーシア・ペラ州バトゥガジャのCRRC工場で組み立て中。完成次第、ジョホールバルのワディハナ車両基地へ搬入され、最終的なテストを受ける。最後の車両は2025年12月に納入予定だ。

RTSリンクの車両製造は、2021年に中国のCRRC社が受注。当初は、シンガポールの地下鉄「トムソン・イーストコースト線(TEL)」と接続し、同じシステム・車両・車両基地を共有する計画だったが、マレーシアの要請により2019年に一時中断。コスト削減のためにLRT方式を導入する形で、2020年に正式再開された。

完成後は、1日30万人以上が利用するコーズウェイの混雑緩和に大きく寄与すると見込まれている。

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