マレーシアで、これまで輸入に依存してきた高級食材を国内で生産する動きが広がっている。経済成長に伴う富裕層の拡大や高級外食市場の成長を背景に、キャビア、和牛、メロンなどで国産化への取り組みが進む。
ペラ州タンジュン・マリムでは、2016年からチョウザメを養殖し、キャビアを生産する「T’lur Caviar」が事業を展開している。熱帯気候に適さないチョウザメを徐々に高温の水に慣らす独自の飼育方法を確立し、現在は月40~80kgを出荷。価格は100g当たり約1,000リンギットで、輸入キャビアと同水準の価格帯となっている。
セランゴール州では、Colla Cattle Farmが和牛の遺伝子を活用した「MyGyu」を生産。オーストラリア産和牛の精液とアンガス牛を人工授精で交配し、3世代にわたる改良によって和牛の遺伝子を87.5%持つ牛を開発した。価格は輸入和牛のおよそ半分で、高級レストランやホテルなどで需要が拡大している。
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一方、東海岸のトレンガヌ州では、Murai Estatesが地元特産のスイートメロンを高級果物として販売している。日本のマスクメロンとは異なり、梨のようなシャキシャキした食感と強い甘みが特徴。地理的表示(GI)にも登録されており、地元産品として保護されている。価格は1kg当たり約21リンギットで、日本からの輸入メロンの300リンギット以上と比べて大幅に安い。
こうした国産化の背景には、マレーシア国内の高級食品需要の拡大がある。ミシュランガイドの星付きレストランも、同国への導入から3年で4店から9店へ増加した。また、牛肉・水牛肉の輸入量は2014年の約14万トンから2024年には20万トンへ増えている。
生産者は単なる輸入代替にとどまらず、熱帯気候への適応技術や人工授精、IoT、AIなどを活用し、マレーシア独自の高付加価値食品の開発を進めている。
キャビア、和牛、メロンという従来は海外産が中心だった高級食材を国内で生産する取り組みは、マレーシアの食品産業における新たな高付加価値分野として注目されている。


