シンガポール政府は、将来のパンデミックに備え、国内でmRNA型インフルエンザワクチンの開発・製造を進める方針を明らかにした。オング・イェクン保健相は、ワクチンの開発・製造能力を国内に構築することが、未知の病原体による「Disease X」への備えとして重要だと強調した。
保健省(MOH)は、シンガポールに本部と製造施設を置くHilleman Laboratoriesなどと連携し、mRNAワクチンの開発を進める。mRNA技術は、従来型ワクチンに比べて設計・製造を迅速に進めやすく、新たな感染症への対応に適した技術とされる。
Hilleman Laboratoriesのシンガポール施設では、まず初期臨床試験向けの製品を製造し、試験が成功した場合には年間最大1,200万回分の製造能力を確保する計画。需要に応じて、域内の大規模製造企業への技術移転も検討する。
オング氏は、シンガポールのパンデミックへの備えは現在「50%」程度との認識を示し、ワクチン開発・製造能力の強化が特に重要だと指摘。mRNAは、開発から製造、市場投入までのスピードと柔軟性に優れ、AI技術を組み合わせることで開発期間をさらに短縮できる可能性があると説明した。
シンガポールはまた、Sanofi、GSK、Moderna、Thermo Fisher Scientificなど、ワクチン開発・製造能力を持つ企業との連携を進めている。さらに、Wellcome Leapや感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)と協力し、RNAワクチンの開発・製造を担う世界的な「RNAバイオファウンドリー」の設立も検討している。
同構想では、半導体産業のようにワクチンの「設計」と「製造」を分業するモデルを想定。将来的には年間数億~数十億回分のRNAワクチンを製造できる体制を目指す。
シンガポールは新型コロナ以降、感染症法の改正や感染症対策庁の設立、民間医療機関を含む医療ネットワークの強化など、国内の感染症対応体制も見直してきた。
オング氏は、パンデミックは医療だけでなく、政治・経済・社会にも影響する世界的な危機だと指摘。感染症の早期監視体制とワクチンの開発・製造能力を強化するとともに、科学に基づく国際協力を通じて、次のパンデミックへの対応力を高める必要があるとの考えを示した。
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