シンガポール政府が検討している車両購入権(COE)制度の見直しについて、COE価格や自動車購入費への影響は不透明との見方が専門家から示されている。
陸上交通庁(LTA)は10月8日、乗用車向けのカテゴリーAとBを統合し、車両の公開市場価格(OMV)に応じて追加料金やリベートを設定する案について、パブリックコメントを開始した。カテゴリーAは主に大衆車、カテゴリーBは大型・高性能車や高級車を対象としている。
背景には、2024年後半以降、カテゴリーAのCOE価格がカテゴリーBに近づき、両者の価格差が縮小していることがある。新制度では、OMVの低い大衆車にはリベートを、高い高級車には追加料金を課すことで、車種による負担の差を明確にすることを目指す。
ただし、専門家はカテゴリー統合そのものがCOE価格の低下につながるとは限らないと指摘する。カテゴリーを統合してもCOEの供給量は増えないため、大衆車の購入者が増えれば、むしろCOEをめぐる競争が強まり、価格上昇につながる可能性もある。
一方、制度変更を見越して大衆車の購入を先送りしたり、高級車の追加負担を避けるため購入を前倒ししたりする動きが生じる可能性もある。
また、自動車メーカーやディーラーが、リベートや追加料金を回避するため、車両の仕様やOMVを調整する可能性も指摘されている。LTAは、OMVは同一メーカー・車種の販売車両全体を基準に算定するため、個別車両のOMVを低くしても有利な区分になるとは限らないとしている。
さらに、制度上のリベートが必ずしも購入者に全額還元されるとは限らないとの指摘もある。ディーラーがリベート分を活用してCOE入札額を引き上げる可能性があるためだ。
専門家は、COEだけでなく、車の保有期間全体にかかるコストを考慮する必要があると指摘する。2027年に予定される高排出車への追加負担、EV購入者向けリベートの終了、自動車登録抹消時の還付額削減なども、最終的な負担額に影響するためだ。
一方、COEの供給は今後安定する見通しで、2020年代末から2030年代初頭にかけて供給増加や価格低下の可能性も指摘されている。
今回の制度見直しについて専門家は、単純に「大衆車が安くなる」と捉えるのではなく、COE価格、OMV、各種税制・リベート、将来の残存価値を含め、車種ごとの総保有コストで比較することが重要としている。
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