シンガポールの製造業活動は7月に縮小に転じた。米国の関税をめぐる不確実性が背景にある。
シンガポール購買資材管理協会(SIPMM)がまとめる購買担当者景気指数(PMI)は、6月の50.0ポイントから49.9ポイントに低下した。PMIは50を上回ると拡大、下回ると縮小を示す。
製造業全体では縮小した一方、製造業の約4割を占める電子産業は小幅に改善した。電子部門のPMIは6月の50.1から7月には50.2に上昇した。
同協会のスティーブン・ポー専務理事は「電子部門が拡大を維持する一方で、製造業全体が縮小に転じるという、相反する見通しが示された」と指摘した。その上で「世界的な通商政策や関税の不透明感が続く中、国内メーカーは設備投資や採用計画を見送っている」と述べた。
7月のPMIは、新規受注や輸出、仕入れの拡大が鈍化したことを反映している。完成品、輸入、納期、受注残の伸びも減速したほか、生産量と雇用は前月より速いペースで縮小した。
OCBC銀行のセレナ・リン主任エコノミストによると、電子部門は人工知能(AI)関連投資の需要増で支えられているが、最終消費者からの需要は依然として低調だという。
製造業と電子産業の雇用指数は4カ月連続で縮小した。DBS銀行のチュア・ハンテン上級エコノミストは「世界的な不確実性が高まる中、製造業者の採用姿勢は慎重だ。特に輸出志向の部門では労働需要が今後さらに弱まる可能性がある」と分析した。
将来の事業環境への期待を示すサブ指数も7月は縮小領域にとどまったものの、そのペースはやや鈍化した。
8月1日に発表されたS&Pグローバルの別のPMI報告でも、製造業者の成長期待は2020年7月のパンデミック期以来で最も低水準だった。米国のトランプ大統領が関税強化を進めていることが背景にある。
OCBCのリン氏は、将来の関税引き上げを見越した前倒し発注(フロントローディング)が企業にとって懸念となっていると指摘。「相互関税の発動が目前に迫る中、前倒し発注の効果が薄れ、外部からの受注や世界的なサプライチェーンの再構築に影響が及ぶ可能性がある」と述べた。
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