【シンガポール】チャンギ空港、貨物輸送で医薬品とeコマースを優先

シンガポール
Cargoes being handled at Singapore's Changi Airport. Photo courtesy of the airport

シンガポールのチャンギ空港は、2030年に新たな貨物取扱能力が追加されるまで、医薬品と電子商取引(eコマース)の輸送に重点を置く方針である。地域需要の増加により現在の施設の貨物取扱能力が逼迫すると見られており、輸送貨物の優先順位を再検討する必要があると空港関係者は述べている。

チャンギ・エアポート・グループの航空拠点および貨物開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデント、リム・チンキアット氏は、現施設での貨物取扱能力は2030年まで厳しい状況が続くと指摘している。そのため、空港ではテナント構成や貨物の種類を再調整し、特に医薬品とeコマースの輸送に注力するとともに、施設内のスペースを最大限に活用する必要があると語った。

eコマースは世界的な航空貨物業界の成長を牽引する分野となっており、SheinやTemuなどのファストファッション企業やTikTok Shopといったソーシャルコマースのリーダーが新たな市場参加者として台頭している。これらが航空貨物需要を大きく押し上げている背景にある。

また、シンガポールは東南アジア地域における医薬品配送の主要拠点として地位を確立している。サーモフィッシャーやサノフィ、バイオンテック、MSDといった世界的なバイオ医薬品企業からの投資が続いていることが、その要因である。

チャンギ空港では2030年代に年間貨物取扱能力を現在の300万トンから540万トンに拡大する計画を立てている。これに伴い、空港内に第2物流パークを設置する予定である。この新施設も現在と同様に自由貿易地区として運用され、第三者物流サービスによる貨物の迅速な受け取りと再配送を可能にする計画である。

2023年に比べ、昨年のチャンギ空港の航空貨物取扱量は14.6%増加し、199万トンに達した。この成長は輸出、輸入、積み替えのすべての分野で見られ、中国や米国との交通量の改善、そしてシンガポールの電子機器輸出・再輸出の回復が要因となった。加えて、越境ECの需要拡大や海上輸送の混乱による航空貨物へのシフトも大きな影響を与えた。

現在、チャンギ空港の主要な航空貨物市場は、中国、オーストラリア、米国、香港、インドである。

※ソース

Singapore’s Changi Airport to prioritize e-commerce amid capacity crunch - VnExpress International
Singapore’s Changi Airport wants to focus on pharmaceuticals and e-commerce shipments as it expects cargo capacity to be strained until additional capacity is available from 2030.
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