【シンガポール】貿易戦争の影響に警戒 PMIは0.2ポイント低下

シンガポール
Singapore's PMI dipped 0.2 points in January to 50.9, down from December’s 51.1 points.PHOTO: ST FILE

シンガポールの製造業は、米国のドナルド・トランプ大統領が発表した対中・対カナダ・対メキシコ関税の影響を受け、貿易戦争のリスクに警戒を強めている。製造業の景況感を示す購買担当者指数(PMI)は1月に0.2ポイント低下し、50.9となった。

PMIが50を上回れば成長、50を下回れば縮小を示す。電子機器分野のPMIも0.3ポイント低下し、51.1となった。シンガポール購買・材料管理協会(SIPMM)が2月3日に発表したデータによると、ASEAN諸国や中国・台湾など北アジアの経済圏でも製造業の成長ペースが鈍化しており、特にマレーシア、タイ、ベトナムでは製造業の縮小が続くとみられる。一方、韓国とインドネシアのみが成長の加速を示している。

OCBC銀行のチーフエコノミスト、セレナ・リン氏は「今回の関税措置は、トランプ政権の初期の政策よりも広範囲に及び、特に自動車やエネルギー産業など、統合が進んだサプライチェーンに短期的な混乱をもたらす可能性がある」と指摘した。また、シンガポールは自由貿易協定(FTA)を米国と締結しているものの、「小規模な開放経済であるため、貿易戦争のリスクから完全に免れることはできない」と述べた。

関税の影響に加え、中国の旧正月による1月の稼働日数の減少や、2024年末の関税発表を見越した駆け込み生産の反動、中国・欧州・米国など主要経済圏の成長鈍化が、世界的な需要の低迷を引き起こしたとの見方もある。

メイバンクのエコノミスト、ブライアン・リー氏は「PMIの低下は、旧正月休暇中の活動鈍化を反映した可能性があるが、駆け込み生産の勢いが弱まり始めた兆候とも考えられる」と分析した。

シンガポールの製造業PMIは今回の低下にもかかわらず、17カ月連続で拡大を続けており、電子機器分野は15カ月連続の成長となった。ただし、多くのサブ指数は鈍化傾向にあり、特にサプライヤーの納品在庫指数は縮小に転じた。一方、仕入れ在庫や完成品在庫は改善を示している。

OCBCのリン氏は「仕入れ在庫や完成品在庫の増加は、関税に備えた買いだめ(hoarding)の兆候かもしれない」とし、「サプライヤー納品在庫の縮小は、サプライチェーンの問題が発生する可能性を示唆している」と述べた。

今後のシンガポール経済への影響について、エコノミストの見解は分かれている。リン氏は「外部環境は不透明さを増しているが、2025年の国内総生産(GDP)成長率2.2%の予測を修正するのは時期尚早だ」との見解を示した。

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