シンガポール持続可能エネルギー協会(Seas)が実施した調査によると、2024年1月に実施された炭素税の引き上げによる影響は「最小限だった」と回答したシンガポールの企業は全体の約40%(37%)であることが明らかになった。
一方で、少数の企業(24.5%)は、炭素税の引き上げを受け、長期的な持続可能性戦略を見直したと回答。約20%の企業は排出削減やエネルギー効率の高い技術への投資を強化していると答えた。
しかし、東南アジアのエネルギー業界の専門家250人を対象に行われたこの調査では、カーボンクレジットを購入した企業はごくわずか(3.8%)であり、炭素税の引き上げだけでは企業のカーボンクレジット購入需要を十分に喚起できない可能性があることも示唆された。
シンガポールの炭素税率は、2024年1月1日から二酸化炭素1トンあたり5ドルから25ドルに引き上げられた。さらに、2026年と2027年には1トンあたり45ドルに引き上げられ、2030年までには50ドルから80ドルの範囲になる予定だ。
シンガポール金融管理局の元マネージングディレクター、ラヴィ・メノン氏は、地球温暖化対策を加速させるためには、炭素税をさらに引き上げる必要があると以前に述べている。
全体として、回答者のうち24.5%がシンガポールの炭素税制度が効果的であると回答したが、41.9%が「ある程度効果的である」と評価にとどまった。炭素税を「非常に効果的だ」と評価したのはごく少数の6%。このことは、炭素税の仕組みは一定の効果を上げているものの、さらに効果を高めるためには改善や影響評価が必要であることとSeasは述べている。
Seasは炭素税に加え、シンガポールおよび広範なASEAN地域におけるエネルギー転換の進捗についても調査を実施。その結果、回答者全体の45.9%がシンガポールの進捗に満足していると評価し、約32.5%はさらなる改善が必要だと答えた。「非常に満足している」と答えたのはわずか17%で、これは進捗は認識されているものの、シンガポールの2050年までのネットゼロ目標を達成するためには依然として大きな改善の余地があることを示した。
※ソース