ホテル業者や旅行者を標的とした「AI詐欺」の急増を受け、業界関係者はオンライン取引の安全性と信頼性を高めるため、規制と保護の必要性を強く訴えている。
マレーシア・バジェット・ビジネスホテル協会の会長スリ・ガネッシュ・ミシェル氏は、偽の予約や架空の宿泊情報、フィッシング詐欺を防止するためには、明確な手順が必要であり、悪意のあるAPK(Android Package Kit)のダウンロードや外部リンクに関する規制が不可欠であると主張している。また、海外に拠点を持つAirbnbのようなオンライン旅行代理店(OTAs)に対する規制も含め、政府の迅速な介入が急務であると強調した。
オンライン旅行サイトBooking.comの最高情報セキュリティ責任者による報告では、ホスピタリティ業界を標的としたフィッシング攻撃が世界的に急増していることが指摘されている。報告によれば、AI技術を悪用してフィッシングメールを作成し、消費者からクレジットカード情報や個人情報などの機密データを引き出す詐欺が増加しているという。ガネッシュ氏は、Booking.comが警鐘を鳴らしていることは、AIの進化によって、旅行予約を行う個人をターゲットとする犯罪行為が多様化していることを示していると指摘している。
Booking.comは、リンクに関する厳格なポリシーや二段階認証などの対策を導入している。マレーシアのホテル業者の多くは、Booking.comやTravelokaなどの旅行プラットフォームと密接に協力し、AIを悪用した詐欺行為に対して効果的に対処してきた。
マレーシアホテル協会の会長クリスティーナ・トー氏は、オンライン旅行代理店(OTA)の迅速な対応能力が、これらの問題を管理する上で非常に重要であり、OTAとホテル業者の密接な協力が、業界内のオンラインセキュリティと信頼を維持するために不可欠であると指摘している。
マレーシア観光連盟の会長タン・コク・リャン氏は、AIを悪用したフィッシング詐欺に対処するため、旅行業者が積極的な対策を講じることを推奨している。その対策には、従業員への教育とトレーニングの実施が含まれている。また、安全な通信チャネルを確立することが、ビジネス上のやり取りを保護するために重要であり、強力なサイバーセキュリティツールを導入することも、デジタル脅威からの保護に役立つと付け加えた。
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