シンガポールビジネス連盟(SBF)が実施した年次調査によると、シンガポールの企業は2025年に向けて楽観的な見通しを持ちながらも、依然としてコスト上昇や需要の不確実性が大きな懸念材料であることが明らかになった。調査によると、企業はこれらの課題に対応しながらも、成長に向けた前向きな姿勢を見せている。
シンガポールの企業の多くが、2024年第4四半期から2025年第4四半期にかけて経済が改善するとの予測を立てており、その割合は前回の22%から26%に増加した。調査結果によると、2024年第4四半期には企業の40%が現状のビジネス環境に満足していると回答しており、これは2024年第2四半期の30%から改善を示している。一方、企業全体の41%は中立的な見解を示し、18%の企業は現状に不満を抱えていることもわかった。
また、アセアン地域でビジネス環境が改善したと感じた企業は32%にのぼり、世界全体のビジネス環境よりも良い結果を示した。調査は2024年10月11日から11月11日まで実施され、519社が参加した。
シンガポールビジネス連盟のコック・ピン・スーンCEOは、「2025年に向けての楽観的な見通しは、企業の適応力やレジリエンスを反映しており、将来に向けた投資と能力開発への取り組みが増えていることを示している」と述べた。一方で、コック氏は「外部要因として、貿易摩擦や関税戦争、地域紛争からの影響が企業の懸念材料となるだろう」と警告している。
調査によれば、企業が最も懸念しているのは人件費の上昇であり、66%の企業がこれを最大の課題として挙げている。コスト削減策を講じた企業は51%にのぼり、41%は価格を引き上げ、30%は在庫管理の効率化を進めている。しかし、コスト上昇にもかかわらず、過去1年間で利益を維持または改善した企業は半数以上に達しており、特に人材育成や新技術、デジタル化への投資が強調されている。
需要の不確実性については、45%の企業が懸念を示しており、特にホテル、レストラン、流通業などの業界が影響を受けている。賃料の上昇も課題として浮上しており、企業の43%が賃料を懸念している。加えて、外国人労働者政策や労働力の確保が引き続き企業にとって重要な懸念事項となっている。
この調査結果は、シンガポール企業が直面する現状と、将来に向けた準備と対応策を示しており、今後の事業環境に対する適応と柔軟性が鍵となることを浮き彫りにしている。
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