シンガポールの家庭の電気料金は、中東情勢の影響で燃料価格が高止まりした場合、将来的に上昇する可能性がある。エネルギー市場庁(EMA)が明らかにした。
EMAによると、中東での紛争は世界のエネルギー価格を押し上げる可能性があり、その結果として国内の電気料金にも上昇圧力がかかる見通しである。
ただし、多くの家庭では当面、電気料金に大きな変化は生じないとみられる。消費者の多くは、小売電力会社との固定料金契約、またはSPグループによる規制料金を利用しているため、短期的な価格変動の影響は抑えられているからである。
一方で、燃料価格の高騰が長期化すれば、その影響は徐々に消費者へ波及する可能性がある。例えば、自由化された電力市場で電力を購入している家庭は、契約更新時に料金上昇が反映される可能性がある。
また、規制料金を利用している家庭も、四半期ごとに見直される料金が今後引き上げられることで、電気料金が上昇する可能性がある。規制料金は発電コストを反映しており、とりわけ燃料価格の影響を強く受ける仕組みである。
現在の電気料金は1キロワット時(kWh)当たり26.71セントで、前四半期の27.55セントからは低下している。
EMAは「世界情勢を引き続き注視し、業界と連携してシンガポールのエネルギー安全保障を守る」としている。
シンガポールはエネルギー需要のほぼすべてを輸入に依存しており、電力の大半は輸入された天然ガスによって発電されている。2025年のガス輸入の内訳は、マレーシアとインドネシアからのパイプライン天然ガスが43%、中東などからの液化天然ガス(LNG)が57%であった。
EMAは燃料供給の確保と価格変動の抑制に向けた対策も講じている。2021年には、天然ガス供給が途絶した場合でも発電会社が利用できるLNGの待機設備を設置した。
さらに2023年には、電力卸市場で価格の大きな変動が続いた場合に発動される一時的な価格上限制度も導入した。加えて、発電会社に対し発電用燃料の十分な備蓄と、代替燃料としてのディーゼル備蓄の維持を義務付けている。
世界のエネルギー価格は、2月28日に米国とイスラエルがイランを攻撃した後に急騰し、その後も紛争激化に伴い上昇を続けている。戦闘により石油輸送の重要な海上ルートが閉鎖されたことで、ガソリンやディーゼル価格も上昇している。
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