タイ観光庁(TAT)のタパニー・キアトパイブーン総裁によると、2025年1月から9月にかけてタイ・バーツは対米ドルで7.24%上昇し、1ドル=34.23バーツから31.75バーツまで値上がりした。この通貨高が外国人観光客の旅行費用を押し上げ、旅行先としての魅力に影響を与えている。
比較すると、中国人民元は2.35%、日本円は5.51%、ベトナム・ドンは3.38%の上昇にとどまっている。バーツの上昇は、外国人が両替時に得られる金額を減らし、ホテル代や飲食費、入場料などが割高に感じられる要因となっている。
TATは、この為替変動により観光収入が当初の見込みより15~17%減少する可能性があると試算している。また、タイが「割高」と認識されることで、観光客は近隣諸国に流れ、タイ人旅行者も日本、ベトナム、中国など通貨安の国への渡航を増やしている。
現在、バーツはスイスフラン(12.32%上昇)に次いで対ドルで2番目に強い通貨となっている。ユーロも5.18%上昇している。
タイ観光省によると、2025年1月1日から9月21日までの外国人観光客数は前年同期比で7.44%減少し、約2,345万人となった。最大の送客国はマレーシア(338万人)、次いで中国(330万人)であった。
背景には米ドルの下落がある。米国が4月に相互関税を発動したことを受け、ドル安が進行し、7月には関税実施を控えた先行き不安が広がった。これにより物価上昇や一部の国で20~40%に達する関税が懸念され、米経済への影響も意識された。
米国人旅行者の動向にも影響が出ている。1~4月は米国からの訪問者が増加していたが、5月以降はバーツ高を受けて減少に転じた。9月1~19日の米国人訪問者数は約3万3,400人で、前年同期比5%減少している。長距離旅行市場である米国は旅行費がもともと高く、ドル安とバーツ高の影響で購買力が低下したことが減少の要因である。
一方、欧州からの訪問者数は堅調で、英国、フランス、スイス、ドイツ、ロシア、東欧、南欧からの観光客は増加傾向が続いており、一部では二桁の伸びを示している。
TATは、為替変動により全体の観光収入が政府目標を下回る可能性を認め、プロモーション戦略を見直し、外国人誘致を強化する方針である。
また、購買力の高いタイ人の海外旅行は増加しており、円やドン、人民元が安い日本、ベトナム、中国などが人気の目的地となっている。
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