世界価値観調査(World Values Survey)の最新結果によると、フィリピンはアジア諸国の中で賄賂に対する寛容度が最も高い国の一つであることが明らかになった。
フィリピン大学のロヘリオ・アリコル・パナオ准教授(データサイエンス)は、第7次調査のデータを分析。フィリピン人回答者のうち「賄賂は決して正当化できない」と答えたのは30.6%にとどまり、インドネシア(70.4%)、タイ(69.9%)、日本(81%)、シンガポール(81.7%)などと比べて大きく下回った。日本やシンガポールでは賄賂の拒否が「ほぼ普遍的」とされる。
一方で「賄賂は常に正当化できる」と回答したフィリピン人は7.9%と、地域で最も高い割合を示した。さらに19.4%は「状況次第で容認可能」との中間的立場を取っている。
パナオ氏は「フィリピン人は表向き汚職を非難するが、現実には必要悪として賄賂を合理化している」と指摘する。複雑な官僚制、慢性的な予算不足、縁故主義が残る政治環境では、賄賂が行政手続きを円滑に進める手段とみなされがちだという。対照的に、インドネシアやタイでは拒否の姿勢がより鮮明で、極端な容認派や中間層の割合も低い。
分析はまた、「道徳的な訴えだけでは賄賂容認の文化を打破できない」と結論づける。「抜け道に頼らず、公正かつ効率的に機能する強固な制度の構築が不可欠だ」としている。
世界価値観調査は、価値観や信念が政治・社会・経済の発展に与える影響を探る国際的研究で、今回の第7次調査は約80カ国を対象に実施された。
今回の結果は、フィリピン国内で汚職事件が相次ぐ中で公表された。9月23日には国家捜査局が、洪水対策事業を巡る不正疑惑でジョエル・ビリャヌエバ上院議員、ジンゴイ・エストラダ上院議員、アコ・ビコル党のエリザルディ・コ下院議員らに対し刑事訴追を勧告した。
さらに先週には、逮捕者から700万ペソ(約15万7,000シンガポールドル)の賄賂を受け取ったとされる高速道路警察隊の元幹部が、重大な非行などで訴追された。この賄賂は特別待遇や容疑取り下げの見返りとされ、国家警察委員会は「賄賂がいかに法執行の現場に浸透し得るかを示す事例だ」と強調している。
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