【シンガポール】企業閉鎖が12.8%増加 新規開業は引き続き上回る

シンガポール
The construction industry saw the sharpest rise in closures in the first seven months of 2026. ST PHOTO: KUA CHEE SIONG

シンガポールでは2026年に入り、企業の閉鎖が増加している。シンガポール会計企業規制庁(ACRA)によると、1~7月に閉鎖した企業は3万8,146社となり、前年同期比で12.8%増加した。

一方、同期間に4万9,305社が新たに登録されており、企業の新規開業は閉鎖を上回っている。特に情報通信分野の新規参入が目立ち、約7,300社が新たに登録された。前年同期比では26.7%の増加となった。

建設業で閉鎖が急増

業種別では、建設業の企業閉鎖が最も大きく増加した。1~7月の閉鎖企業は2,127社で、前年同期比約47%増。一方、新規登録も2,277社に達した。

建設業は経済全体では好調で、建築建設庁(BCA)は2026年に公共・民間合わせて最大530億シンガポールドルの建設契約が発注されると見込んでいる。

それでも中小建設業者は、人件費や資材価格の上昇、外国企業との競争激化によって経営環境が厳しくなっている。鉄筋や生コンクリートなどの価格はここ数カ月で約10%上昇。固定価格契約で受注した企業では、コスト上昇によって利益が圧迫され、資金繰りが悪化するケースも増えている。

業界関係者によると、資金力やサプライチェーンで優位に立つ外国建設業者の参入も増えており、特に中国企業との競争が中小の地場企業にとって大きな負担となっている。

飲食業も閉鎖が25%増

飲食(F&B)業界でも閉鎖が目立った。1~7月の閉鎖企業は2,101社で、前年同期比25.1%増加した。一方、新規登録は2,594社で、こちらも閉鎖を上回った。

飲食業界は参入障壁が比較的低く、消費者の嗜好も変化しやすいため、もともと企業の新陳代謝が激しい。近年は有名店の閉店も相次いでいる。

ただし、ACRAの統計には、営業を停止しているものの登記上は存続している企業は含まれないため、実際の事業撤退数は統計を上回る可能性がある。

ACRAによる休眠企業の抹消も影響

企業閉鎖数には、企業自身による廃業だけでなく、ACRAが休眠状態にある企業や登記更新を怠った企業を登記簿から抹消したケースも含まれる。

特に2026年3月には、ACRAによる休眠企業などの集中的な抹消により、企業閉鎖数が一時的に急増した。ACRAは、こうした措置によって企業登記簿を正確かつ最新の状態に保ち、休眠企業が不正目的で悪用されるリスクを抑えるとしている。

AIが新規参入を後押し

一方、情報通信分野ではAI(人工知能)の急速な普及が新たなビジネス機会を生み出している。

経済関係者は、AI関連サービスを提供する企業が相次いで参入しているほか、AIの普及に伴うデータセンターやデジタルインフラへの投資も拡大していると指摘する。

こうした投資は、関連施設の建設需要を押し上げる可能性もある。チャンギ空港第5ターミナルやマリーナベイ・サンズの拡張など大型プロジェクトも控えており、建設業界には引き続き一定の需要が見込まれている。

今回のデータは、シンガポールの企業活動が一様に縮小していることを示すものではない。コスト上昇や競争激化によって既存企業の退出が増える一方、AIやデジタル関連を中心に新たな企業の参入も加速している

今後は、こうした企業の「入れ替わり」がシンガポール経済の構造変化をどこまで反映しているのかが注目される。

※ソース

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