【シンガポール】ソフト開発職に追い風 AI関連は報酬減少傾向に

シンガポール
Software engineers form the largest group of tech professionals in Singapore, accounting for 31 per cent of the country’s tech workers.PHOTO: ST FILE

テック人材情報サイト「NodeFlair(ノードフレア)」が発表した「Asia Tech Salary Report 2025」によると、2024年のシンガポールにおけるソフトウェアエンジニアの給与は前年比3.3%増加し、引き続き高い需要があることが示された。一方で、機械学習や自然言語処理などを専門とするAI関連職種では、世界的な生成AIブームにもかかわらず、給与が最大2.4%減少する結果となった。こうした対照的な動きは、企業の人材ニーズや優先順位の変化を反映している。

NodeFlairの創業者であるイーサン・アン氏によると、多くの企業が独自にAIシステムを構築するのではなく、OpenAIなどの既製サービスを導入する傾向が強まっているという。これにより、企業はAI技術の調整や活用に注力できるが、必要とされるのはデータサイエンティストよりも一般のソフトウェアエンジニアであることが多いと指摘する。

同レポートによると、ソフトウェアエンジニアの中でも最も高い報酬を提供しているのは、Meta、Amazon、Google、そして暗号資産取引所のOKXなど多国籍企業で、中央値を35~52%上回る水準で給与を支払っている。シンガポールでは2022年時点でテック人材の約31%をソフトウェアエンジニアが占めており、同国の中核的職種といえる。

地域内でもシンガポールのソフトウェアエンジニアは最高水準の給与を得ており、小規模な技術チームを率いるリードエンジニアの月給中央値は6,705米ドル(約9,050シンガポールドル)で、マレーシアの約2.7倍、インドの約5.7倍にあたる。

一方で、シンガポールはシニアおよびリードクラスのソフトウェアエンジニアの比率で、マレーシアやインドに後れを取っている。GXS銀行のCTOラジャット・マルホトラ氏は、「AIによるコード生成は単なるコーディング作業者を置き換える可能性があるが、ソリューション設計も含めた役割を果たすエンジニアは引き続き重要だ」と述べた。

また、2024年には他のテック職種の給与も厳しい状況に直面している。データサイエンティスト、システムアナリスト、品質保証スペシャリストなど、16職種中7職種で中央値が下落し、特にサイバーセキュリティ関連職はレイオフや採用凍結の影響で4.6%の給与減となった。

その一方で、暗号資産やWeb3、ブロックチェーン関連のエンジニアは、需要の回復を背景に最大41%の給与増を記録した。この分野は完全リモート勤務の企業が多く、シンガポールの優秀な人材も高報酬を提示する海外企業に雇用されている傾向が強いという。

他方で、企業がシンガポールから人員を移す動きも目立ち始めており、欠員補充を行わない、あるいは社員にインドなど他国への異動を求めるケースが増加している。

2024年の世界的なテック業界のレイオフは減少傾向にあり、2023年には1日平均1,177人が解雇されていたのに対し、2024年は同653人にとどまっている。NodeFlairはこの傾向が2025年も続くと予測している。

地域全体を見ると、マレーシアがシンガポールに次ぐ明るい材料となっている。アン氏は「マレーシアは現在、アジアの新たなテックハブになりつつある。人件費の競争力に加え、英語力の高い人材が多いことが評価されている」と述べた。

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