ドラッグストアでインフルエンザ予防接種を提供する試験的制度(サンドボックス)が好評を博しており、今後さらに多くの店舗でこのサービスが受けられるようになる見通しだ。
このサンドボックスには、Guardian Health & Beauty、Unity Pharmacy、Watsonsの3大薬局チェーンが参加しており、保健省(MOH)の承認を得た上で、サービスを拡大する計画である。
MOHはこのサービスを本格導入するかどうかの最終判断を下していないが、少なくとも今後1年間はサンドボックスを継続するとしている。
従来、インフルエンザ予防接種は主に民間の一般開業医(GP)クリニック、旅行クリニック、ポリクリニックなどで提供されてきた。
MOHは2024年10月、一般市民がドラッグストアで予防接種を受けられる試験を開始した。対象は、セラングーンのネックス内Guardian、マリンパレードのパークウェイパレード内Unity Pharmacy、そしてオーチャードのパラゴン内Watsonsの3店舗であった。この試験は最低1年間実施し、その後ヘルスケアサービス法に基づく正式な許可を得ることを目指している。
MOHは2025年3月、6カ月分のデータを収集した後、効果や安全性を検証すると発表した。評価項目には、現場監査の結果、利用者からのフィードバック、副反応の管理状況、全体的な接種率などが含まれる。
MOHはストレーツ・タイムズの取材に対し、「一般からの反応が良好であるため、今後のインフルエンザシーズンにおいてもサンドボックスを継続する」と回答した。
7月31日時点で、認定を受けた8人の薬剤師により約1,200件の予防接種が実施されており、当初MOHが目標としていた200件を大幅に上回った。接種者の約87%はシンガポール市民であり、彼らは地域医療助成制度(CHAS)に登録されたGPクリニックと同様の政府補助を受けることができる。
MOHの広報担当者によると、副反応の発生件数は極めて少なく、ほとんどが注射部位の痛みなど軽微なものであった。薬剤師はそのような場合に、適切かつ迅速なアドバイスを行っているという。
Guardian、フェアプライスグループ(Unity運営)、Watsonsの各社は、いずれも予防接種サービスを現在の店舗からさらに拡大する計画であり、ワクチン接種資格を持つ薬剤師の育成も進めている。
Watsonsの広報担当者は「非常に好意的な反応をいただいている。予約やウォークインのどちらでも手軽に接種でき、待ち時間の短さが好評だ」と述べた。
普段は民間クリニックで接種しているという33歳の会社員ラリー・ラン氏は、「職場近くのGuardianで次回の予防接種を受けようかと考えている。オンライン予約ができ、待たずに接種できる点が魅力だ」と話した。
インフルエンザウイルスは絶えず変異するため、年1回の接種が推奨されている。シンガポールでは例年、11月から2月、および5月から7月にかけて流行期を迎える。ワクチンの効果は接種から約2週間後に現れるという。
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