【シンガポール】国産野菜・水産物生産が減少、30%自給目標に逆風

シンガポール
Overall, Singapore’s local food production in 2024 made up less than 10 per cent of total demand. PHOTO: ST FILE

2024年、シンガポール国内で生産される野菜と水産物の割合がさらに低下し、同国が掲げる2030年までに食料自給率30%を目指す「30×30」計画に暗雲が立ち込めている。国産野菜は消費量の3%にとどまり、前年の3.2%から減少した。水産物も7.3%から6.1%に減り、国内生産全体は依然として10%未満の低水準である。

野菜や水産物は2021年以降継続的に縮小している一方、卵の生産は34.4%に増加し、逆境の中で唯一好調な分野となった。農場・養殖場数も陸上153カ所(前年156カ所)、海上72カ所(前年98カ所)と減少傾向にある。

この状況は、地元の農業セクターでの相次ぐ農場閉鎖や経営縮小に起因している。シンガポール政府は食料安全保障の柱として、187カ国・地域からの多角的な輸入、非常時の米の備蓄、そして地元生産の三本柱を掲げているが、国産品は依然として供給網の混乱時に欠かせない重要資源だ。

しかし、2019年に設定された「30×30」目標は、パンデミックやウクライナ紛争によるサプライチェーンの混乱やエネルギー危機の影響もあり、現在見直しが進められている。シンガポール食品庁(SFA)のチーフ・エグゼクティブ、ダミアン・チャン氏は、生産減少の一因として、養殖業の再編成やエネルギーコストの高さ、投資環境の悪化、販売面の課題を挙げた。

また、地元生産品の価格が輸入品より高いため、消費者はより安価な輸入品を選ぶ傾向が強く、需要減少に繋がっている。

ただし、卵生産の増加は、農場の設備更新や運営改善が奏功した結果である。今後は、高度な技術を導入した大規模な屋内垂直農場の設立が進む見込みで、2025年から2026年にかけて生産力の回復が期待されている。

また、東ジョホール海峡における養殖場の拡充により、2026年以降は年間6,700トンまで水産物の国内生産を増加させる計画である。

一方で、2024年は食中毒の発生件数も増加しており、人口10万人当たり約23件に達した。特にケータリング業者での発生が多く、シンガポール食品庁は衛生管理強化に取り組んでいる。

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