日本のラーメンチェーン「金田家(Kanada-Ya)」が、シンガポール国内の全3店舗を閉鎖した。親会社であるAspenグループが継続的な赤字を理由に事業を清算すると発表した。
Aspenグループは6月11日、シンガポール証券取引所への提出書類において、金田家シンガポール法人および完全子会社Kanada-Ya Restaurantsを債権者による自主清算(Creditors’ Voluntary Liquidation)の手続きに入れると発表した。両社は、すでに債務の返済が不可能な状態にあると説明している。
同グループは、「シンガポールの飲食業界は、高騰する運営コストや消費支出の低迷などにより厳しい状況が続いており、これが金田家の事業に深刻な影響を及ぼし、継続的な営業損失を招いた」としている。
さらに、金田家ブランドのフランチャイザーである本部の創業者兼取締役が死去したことにより、マーケティングや運営支援が急激に減少した点も、事業継続に大きな支障をきたした要因とされる。
こうした要素が重なった結果、金田家はすべての店舗で営業を終了した。Marina Squareの近隣店舗の従業員によると、同店舗は6月8日以降営業しておらず、Jem店舗は6月6日に閉店したことが確認されている。PLQの店舗跡地はすでに板で覆われている状態だ。
Aspenは、今回の閉鎖により2025年6月期の純資産および収益に好影響が見込まれるとしている。また、清算によって事業の整理が進み、今後は主力分野である不動産開発事業に経営資源を集中できるとしている。
金田家は福岡県行橋市で創業されたラーメンブランドで、シンガポールでは2019年にPaya Lebar Quarter(PLQ)に1号店を開業。その後、Marina SquareおよびJemに出店し、黒ニンニクラーメンやトリュフラーメンなどが看板商品として人気を集めていた。
なお、シンガポールでは飲食業界全体が厳しい局面にある。同じく日本食を展開するJapan Foodsは、2024年3月末までの半年間で620万シンガポールドルの純損失を計上し、前年同期の57万6000ドルから赤字が拡大している。売上も7.5%減少し、既存ブランド「焼肉食堂」「麺屋武蔵」「金色不如帰」などの業績不振が影響した。「金色不如帰」はすでにChijmes、Paragon、Jewelの3店舗を閉店している。
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