【シンガポール】2024年成長率予測を3.5%に上方修正

シンガポール
The third-quarter growth beat both the official advanced estimate of a 4.1 per cent and the upwardly revised 3 per cent expansion in the second quarter. ST PHOTO: GIN TAY

シンガポール経済は2024年第3四半期の成長率が前年同期比5.4%となり、当初予想された4.1%を大きく上回った。この結果を受け、政府は2024年通年の成長予測を従来の「2~3%」から「約3.5%」に引き上げた。この通年予測の上方修正は、2023年の1.1%という低成長からの力強い回復を意味するものである。

シンガポール貿易産業省(MTI)は11月22日に「2024年の残りの期間において、シンガポールの外需は全体的に堅調を維持する見通しである」と発表した。また、同省常務秘書のベー・スワンジン氏は記者会見で「第3四半期の成長は主に製造業、卸売業、金融・保険業が牽引した。これは、世界的な電子機器需要の回復が一因である」と述べた。

第3四半期までの累計成長率は前年同期比3.8%となり、2023年の同時期の0.7%から大幅に上昇した。OCBC銀行のチーフエコノミストであるセレナ・リン氏は、この結果が2024年のGDP成長率が3.5%を超える可能性を示していると指摘した。

MTIは、2025年の成長見通しについては、リスクが「下振れ方向に傾いている」と警告している。特に懸念されるのは、トランプ新政権による関税政策である。トランプ次期大統領は、中国からの輸入品に60%、その他の国からの輸入品に20%の関税を課す意向を示しており、これがシンガポールの貿易相手国の経済に悪影響を与える可能性がある。

ただし、トランプ氏が関税を導入した場合でも、「米国はシンガポールとの貿易で黒字を維持しているため、シンガポールが関税の対象となる可能性が低いことはポジティブな要素である」とベー氏は述べた。米国はシンガポールの貿易全体の10%以上、投資の20%以上を占める重要なパートナーである。

他のリスクとして、地政学的紛争の激化やそれに伴う原油価格および生産コストの上昇が挙げられる。また、政策の不確実性が世界的な投資や貿易を抑制する可能性もある。このような背景から、MTIは2025年の成長率を1~3%と予測している。

シンガポールの主要貿易相手国である米国などの経済成長率は、2024年に比べてやや低下する見込みである。しかし、製造業や貿易関連サービス部門の成長見通しは依然として明るい。電子機器部門は世界的な半導体需要の高まりを背景に拡大を続けると予測されており、これが精密工学部門や卸売業にも好影響を与えると考えられる。さらに、航空宇宙産業や海洋・海上エンジニアリング産業の堅調な受注が輸送工学部門の成長を後押しすると見られている。

また、情報通信業や金融・保険業といった外向きのサービス業も堅調な成長が期待されている。観光関連部門も国際的な訪問者数の回復により恩恵を受けると予測されている。

一方で、小売業や飲食業の低迷は今後も続く見通しだ。この背景には、国内の消費者が海外旅行に出かける機会が増え、国内での消費支出が減少していることがある。また、国際観光客の回復ペースが予想より遅れていることも、これらの業界にとって大きな課題となっている。さらに、観光客の消費活動が期待されたほど活発でないことも、小売業や飲食業に負の影響を及ぼしている。

※ソース

S’pore raises 2024 growth forecast, but sees economy slowing in 2025 from global uncertainties
2025's growth is tipped to range from 1 per cent to 3 per cent, down from 2024's "around 3.5 per cent". Read more at straitstimes.com.
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