インドの大手コングロマリット、リライアンス・インダストリーズを率いるアンバニ家をはじめ、成功を収めたインドの若いビジネスエリートたちが、シンガポールにファミリーオフィスを設立している。アンバニ家はインド有数の富豪一族であり、2022年にシンガポールにファミリーオフィスを設立した。
多くのインドの富裕層は、恵まれていない環境や家庭の出身ながら大成功を収めた経験を持ち、自ら築いた財産を次世代に引き継ぐためにファミリーオフィスを設けている。また、家族間の争いを避けるため、ガバナンスやコミュニケーション、意思決定を円滑にする目的でシンガポールを拠点に選んでいる。
DBS銀行の推計によると、今後10年でインドの富裕層の間で約4兆米ドル(約5.3兆シンガポールドル)相当の資産が世代間で引き継がれるとされている。
DBS銀行の個人向け金融サービスおよび資産管理部門責任者のシー・ツェ・クーン氏は「シンガポールはインドの超富裕層がファミリーオフィスを設立するための理想的な場所である。その理由は、安定した政治経済環境や、優れたビジネス環境、税制面でのメリットがあるからだ」と述べている。
また、投資会社ATキャピタルの創設者であるアルビンド・ティク氏は、シンガポールの信頼性や透明性が他の地域に対して優位性を持つと述べている。
シンガポールは現在、アジアのファミリーオフィスの約60%が集中している。DBSによると、2022年の2,800件から2023年には3,200件に増加したと推定されている。
同銀行は11月5日に発表した2024年版の年次レポートで、インドのファミリーオフィスの状況について詳述している。インドには3,000万米ドル以上の資産を持つ富裕層が13,200人以上存在し、この数は急速に増加すると予測されている。また、2023年には、約6,500人のインドの富裕層がドバイ、シンガポール、ヨーロッパ、アメリカなどに移住したと見られている。
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