【シンガポール】就職氷河期の兆し 新卒者、早期の職探しに動く

シンガポール
EllyによるPixabayからの画像

卒業旅行やギャップイヤーに時間を割く余裕は、今の大学卒業生にはほとんどない。就職市場の冷え込みが、将来への不安を高めている。

米中貿易摩擦に端を発する世界経済の不透明感が続く中、シンガポール政府は相次いで若者たちに警鐘を鳴らしている。ガン・キム・ヨン副首相(通商産業相を兼任)、タン・シー・レン人材開発相、チー・ホン・タット国家開発相がそれぞれの場で、今年の卒業生に対し、厳しい雇用環境に備えるよう呼びかけた。ガン副首相は特に、職種や給与に対して柔軟な姿勢を持つことの重要性を強調している。

実際、就職活動を始めた多くの若者が、複数の企業に応募しても返信すら得られない状況にある。周囲を見ても、2024年卒業の知人の中で、ようやく契約社員の職を得たという例が一人いる程度という声もある。優秀な成績やインターン経験があっても、面接の機会すら得られないケースが珍しくないという。

求人プラットフォーム「Indeed」のアジア太平洋地域シニアエコノミストであるカラム・ピッカリング氏によれば、卒業生に対する求人の需要は減少傾向にある。2025年1月から4月までの新卒向け求人は前年同期比で19%減少し、2022年をピークとする好況期から3年連続の減少となった。

「コロナ禍前よりも求人は依然高い水準にあるものの、採用市場は明らかに変化している。現在の卒業生は、かつてよりも厳しい状況に置かれている」とピッカリング氏は述べる。

Indeed全体の求人も、2025年4月時点で前月比2.7%減となり、4カ月連続の減少。投稿件数は2021年5月以来の最低水準に落ち込んでいる。

「企業にとって将来の経済環境が不透明な中、採用計画を立てることが難しくなっており、結果として新たな雇用創出に影響が出ている」とピッカリング氏は指摘する。

また、LinkedInのアジア太平洋チーフエコノミストであるチュア・ペイ・イン氏は、2024年5月から2025年5月の1年間で、求人1件あたりの応募者数が3.2%増加したというデータを示した。

チュア氏はさらに、Z世代の若者たちが直面する追加の課題として、人工知能(AI)の普及を挙げる。特に初級レベルの業務は自動化のリスクが高く、ほぼすべての業界で影響が出る可能性があるという。

こうした状況を受け、多くの若手卒業生たちは、希望条件を下げてでも就職先を見つける覚悟を固めつつある。

※ソース

ERROR: The request could not be satisfied
タイトルとURLをコピーしました