【シンガポール】ジェットスター・アジア撤退でSIAに追い風 

シンガポール
With one less airline operating, there will be fewer available seats, which may lead to higher load factors for SIA and Scoot.PHOTO: ST FILE

格安航空会社ジェットスター・アジアの撤退により、シンガポール航空(SIA)およびその子会社スクートにとって、アジア域内市場でのシェア拡大の好機が到来している。中東情勢の悪化や航空事故といった逆風が吹く中でも、SIAは新たな成長の可能性を見出している。

ジェットスター・アジアは6月11日、7月31日をもって全路線の運航を終了すると発表した。同社はチャンギ空港から週約180便を運航し、2024年には約230万人の乗客を輸送していた。その撤退により、LCC(格安航空会社)市場に大きな空白が生まれることになる。

この市場の空白を埋める存在として期待されているのが、SIA傘下の格安航空会社スクートである。スクートは今後、日本の沖縄やインドネシアのラブアン・バジョへの新規路線を就航させる計画を明らかにしており、急速なネットワーク拡大が見込まれている。

投資調査会社モーニングスターのディレクター、ロレイン・タン氏は「スクートはジェットスター・アジア撤退によって発生する市場の空白を埋める好位置にある」と述べた。また、メイバンクのアナリスト、エリック・オン氏も「競争がやや緩和されることで、搭乗率や収益性の向上が期待できる」と分析している。

LCC市場における競争がひとつ緩和されることで、SIAグループはより高い搭乗率を確保しやすくなる。また、需要に対して供給が絞られることで、チケット単価の引き上げや収益の改善にもつながる可能性がある。

一方で、SIAを取り巻く外部環境は依然として不安定だ。6月12日には、SIAが25.1%を出資するエア・インディアのロンドン行き便がインド・アーメダバード空港近くで墜落し、270人以上が犠牲となった。さらに翌13日には、イスラエルとイランの軍事衝突により中東の地政学的リスクが急上昇。原油価格は一時7%も急騰し、ジェット燃料価格にも大きな影響を及ぼした。

このような中でも、SIAは自社のグループ戦略を生かし、地域路線の強化を通じて収益機会を広げようとしている。混乱の時代にあっても、SIAが冷静に機会をとらえ、優位性を拡大できるかが今後の焦点となる。

※ソース

ERROR: The request could not be satisfied
タイトルとURLをコピーしました