米国のトランプ大統領が発表した過去最大級の関税措置を受け、シンガポール金融管理局(MAS)は4月14日に追加の金融緩和に踏み切る見通しだ。ブルームバーグの調査によると、全14人のエコノミストがMASによる為替政策の傾斜引き下げを予測している。
MASは金利ではなく為替レートを通じてインフレと成長を調整する政策を採っており、傾斜を緩めることでシンガポールドルの上昇ペースを抑え、輸出企業の競争力を支える狙いがある。UBSは今回、傾斜が「通常より大きく」ゼロにまで引き下げられる可能性があると指摘している。
米国による対中関税は145%と高水準だが、シンガポールにも10%の関税が課されており、輸出依存度が高い経済にとって大きな打撃となる恐れがある。ウォン首相は2025年の成長が「著しく下押しされる」との見通しを示し、景気後退のリスクにも言及している。
Citiのチュア氏は、OECDのデータを引用し、シンガポールのGDPの約7%が米国の需要に依存しており、東南アジアで2番目に高いと分析している。これは米国の関税がシンガポール経済に及ぼす影響の大きさを示している。
MASは今年1月に5年ぶりの政策緩和を実施したが、その後の米関税発表や金融市場の混乱を受け、追加の対応が必要との見方が強まっている。一方で、OCBCのセリーナ・リン氏は、MASが一度にゼロ傾斜に移行した前例はなく、市場への影響を考慮し段階的な対応が望ましいと指摘する。
外部環境の不確実性が高まる中、MASの対応が今後のシンガポール経済の方向性を左右するとみられる。
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