タイ下院は19日、新たな「アルコール飲料管理法案」を圧倒的多数で可決した。これにより、これまで禁止されていたアルコール飲料の広告が解禁される見通しだ。法案は今後、上院での審議を経て最終決定される。
同法案は、アルコール飲料の販売や広告に関する規制を緩和することを目的としており、2008年施行の現行法に代わるものとなる。最終採決では賛成365票、反対ゼロ票、棄権3票で可決された。また、特別委員会による審査意見を法案に付随させることも、賛成356票、反対2票で承認された。
特に注目されたのは、アルコール広告の規制をめぐる第32条の扱いだ。第二読会では、審査委員会の多数意見として広告禁止を維持する提案が出されたが、賛成1票、反対371票で否決された。その代わりに、プアタイ党のチャニン・ルンタナキアット議員が提出した、広告を許可する案が採択された。
法案の可決を受け、チャニン議員は自身のFacebookで「アルコール飲料の広告禁止がついに撤廃された」と投稿し、賛成した議員に感謝の意を表した。広告規制の緩和により、小規模および地域密着型の酒造業者が自由に自社製品を宣伝できるようになる。これにより、タイの地酒などが広く認知され、「ソフトパワー」の一環としての発展が期待されている。
一方で、アルコール広告の禁止は、タイ健康促進財団(ThaiHealth)の主導で長年にわたり維持されてきた。同財団は過度な飲酒が健康被害を引き起こすことを懸念し、より厳格な規制を求めてきた。タイの政治家も、仏教の戒律や社会的批判を考慮し、これまで規制緩和には慎重な姿勢を取ってきた。
チャニン議員は、今回の法案は五つの異なる提案を融合させた妥協案であると説明した。その五つとは、①内閣が承認した公衆衛生省の法案、②プアタイ党の法案、③旧「前進党」(現在の「人民党」)が提出した法案、④規制強化を求める団体の法案、⑤規制緩和によるビジネス促進を目指す団体の法案である。
本法案は今後、上院で三読にわたる審議を経て、最終的な成立の可否が決定される。
※ソース
