【タイ】カジノ入場に厳格な規制案 投資家の関心に影響も

タイ
The requirements, which also include an entry fee capped at 5,000 baht (S$200), will effectively block large swathes of the population.PHOTO: REUTERS

タイ政府は観光業を促進するため、国内に本格的なカジノ産業を構築する計画を進めている。その一環として、同国の法律審査機関である国家法制審議会が2月17日に発表した新たな規制案では、タイ国民がカジノに入場するための厳格な条件が設けられた。

規制案によると、タイ国民がカジノに入場するには、50百万バーツ(約2億円)以上の定期預金を6カ月以上保有していることが条件となる。また、カジノの面積は統合型リゾート(IR)の全体敷地面積の10%以内に制限されるとされている。

さらに、カジノ入場には最大5,000バーツ(約2万円)の入場料が課されることも盛り込まれている。タイ政府のデータによれば、同国の一人当たり国内総生産(GDP)は約24.6万バーツ(約100万円)であり、こうした要件は大半の国民にとってハードルが高い。

タイではほとんどのギャンブルが違法とされているが、違法賭博は広く蔓延している。カジノ業界のアナリストによると、外国人投資家は国内プレイヤーの市場規模に注目しており、今回の規制案が投資の判断に影響を与える可能性があるという。

米シティグループが2024年後半に発表した報告書では、タイ国内で20歳以上の人口の約半数がカジノ利用者となる可能性があり、同国は世界で3番目に大きなギャンブル市場になり得ると指摘されている。

シンガポールを拠点とするカジノコンサルタントのダニエル・チェン氏は、「5,000バーツの入場料は中上流階級以上のタイ人しかカジノにアクセスできないことを意味する」と述べた。また、「50百万バーツの銀行預金要件は、韓国の外国人専用カジノと変わらない厳しさだ」と指摘する。

新たな規制案に関する公聴会は2月15日から3月1日まで実施され、その後、内閣の承認を経て国会で審議される予定だ。

現在、タイでは政府が管理する競馬や宝くじ、一部のスポーツ(ボクシングなど)に限りギャンブルが合法とされている。東南アジアではいくつかの国がカジノを合法化しているが、シンガポールのように厳格な規制のもとでラスベガス・サンズなどの大手企業を誘致し、成功を収めた例は少ない。

タイ政府は、今回のカジノ開発計画により1,000億バーツ(約4,000億円)以上の投資を呼び込み、外国人観光客の年間5~10%増加を目指す。これにより、年間120億バーツ(約480億円)以上の収益を見込んでいる。観光業は東南アジア第2位の経済規模を持つタイの重要な産業であり、政府は2025年に3,800万人の外国人観光客を誘致し、パンデミック前の水準(約4,000万人)に迫ることを目標としている。

しかし、1月に実施された世論調査では、大半のタイ国民がカジノ計画に反対していることが判明した。また、一部の政党からは「カジノ産業の発展は社会問題を悪化させる」との批判が上がっている。

※ソース

Site not available
タイトルとURLをコピーしました