シンガポール政府は、人工知能(AI)分野のスタートアップ支援を強化する新たな官民連携を発表した。マイクロソフト、エンタープライズ・シンガポール(EnterpriseSG)、シンガポール国立大学(NUS)の起業支援部門が協力し、AIスタートアップの海外展開を後押しする。
ガン・キムヨン副首相(兼通商産業相)は10月29日、マイクロソフトとNUSエンタープライズの「AI Accelerate」プログラムを拡大すると発表した。今後3年間で最大150社が参加予定で、マイクロソフトのクラウド基盤「Azure」を活用しながら製品開発や事業戦略を磨き、同社の専門家による市場展開支援を受ける。参加企業は「Startup SG Tech」助成金の優先審査対象にもなる。
エンタープライズSGは助成金審査の迅速化を図り、知的財産出願、AIやクラウド技術を活用した製品開発、人材確保などを支援する。ガン氏は「スタートアップはマイクロソフトのグローバルネットワークを活用し、技術開発や市場開拓を加速できる」と述べた。
併せて、南洋理工大学(NTU)と米非営利団体「Activate Global」が新フェローシップを設立し、先端素材、ロボティクス、AI、バイオテクノロジーなどの分野で科学系起業家を育成する。3年間で1,200万ドルを投じ、最大40名を支援する。
また、エンタープライズSGは「グローバル・イノベーション・アライアンス」戦略を拡充。STエンジニアリング・ベンチャーズを初の企業パートナーに迎え、2年間で最大300万ドルを投じて技術実証や商業化を促進する。海外企業16社と国内企業10社を対象に、AIや先端素材などの分野で共同プロジェクトを実施する予定だ。
気候技術分野では、テマセクと協力する「Breakthrough Energy Fellows Southeast Asia Programme」が地域の低炭素技術開発を支援。さらに、Wavemaker Impactとの連携で15社の気候系スタートアップが誕生しており、今後は市場展開の加速を目指す。
ガン氏は、実世界で学習・行動できる「エンボディドAI」への投資も強調。「物流や製造、医療など主要産業の生産性向上に資する戦略的分野だ」と述べ、港湾運営大手PSAと共に次世代ロボティクスの実証を進める方針を示した。
一方、通産省のアルヴィン・タン政務次官は、世界知的所有権機関(WIPO)の「グローバル・イノベーション・インデックス」でシンガポールが3年連続で世界5位に入ったことを紹介。「長年の投資と官民連携がイノベーションを支えている」と述べた。
10回目を迎えた「Singapore Week of Innovation and Technology(SWITCH)2025」は、10月29日から31日までマリーナベイ・サンズで開催。世界100カ国以上から約2万人が参加し、AIやサステナビリティなどをテーマに約400社が出展している。
※ソース


